東北大学 東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)とオムロン ヘルスケアは、食事・運動・睡眠などの生活習慣や遺伝的背景が、高血圧などの疾病の発症にどのように関係するかを5000人規模で調べる共同研究を、2017年6月に開始する。ウエアラブルデバイスや家庭用ヘルスケア機器を活用して高血圧などの発症モデルを構築し、疾病予防法などの開発につなげることを目指す。

東北大学 東北メディカル・メガバンク機構とオムロン ヘルスケア、東北メディカル・メガバンク計画の研究支援を手掛ける日本医療研究開発機構(AMED)が2017年5月23日に開催した記者会見の様子
東北大学 東北メディカル・メガバンク機構とオムロン ヘルスケア、東北メディカル・メガバンク計画の研究支援を手掛ける日本医療研究開発機構(AMED)が2017年5月23日に開催した記者会見の様子
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 ToMMoはかねて、宮城・岩手県で15万人規模のコホート研究を実施し、健康状態などに関する基本調査(ベースライン調査)を行ってきた。2017年度からは、ベースライン調査参加者のその後の健康状態を調べる「詳細二次調査」を行う予定。今回の研究ではここに、生活習慣をモニタリングするための項目をAdd-on(追加)調査として加える。

 具体的には(1)尿中のナトリウムとカリウムのバランス(塩分と野菜や果物の摂取バランス)、(2)身体活動量、(3)睡眠状態、を10日間にわたって測定。これらの測定値と家庭血圧、遺伝的背景などの相関を解析することで、高血圧などの発症予測モデルを開発する。「どのような生活をしていると高血圧になりやすいかや、遺伝的背景による塩分感受性(塩分摂取が血圧上昇にどれほど寄与するか)の違いが高血圧とどのように関係するか、などを明らかにしたい」(ToMMo 地域住民コホート室長の寶澤篤氏)。

 研究では、尿中のナトリウムとカリウムのバランスを測る尿ナトカリ計、ウエアラブル活動量計、電波式の非接触睡眠計をオムロン ヘルスケアが提供。これらの機器を、宮城県沿岸部の複数の地域支援センターで貸与し、2017年度に5000人を調査することを計画している。ToMMo機構長の山本雅之氏は「同じ項目だけを繰り返し測るのではなく、新しい要素を取り込み、発展させていくのが現代のコホート研究のあり方。今回の研究をそのプロトタイプの一つにしたい」と話している。