米国太陽光エネルギー産業協会(SEIA)は5月16日、米国における太陽光発電の比率を2030年までに全電源の20%とする目標を達成するために、今後10年のイニシアチブ「Solar+ Decade(ソーラープラス・デケイド)」を推進すると発表した(図1)。

図●米SEIAが発表した「Solar+Decade」を示すイラスト
図●米SEIAが発表した「Solar+Decade」を示すイラスト
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 現在、米国で太陽光発電が電源に占める比率は2.5%である。この比率を2030年に20%まで引き上げ太陽光発電を主要な電源とするために、SEIAは政策や社会、経済、環境などの面で2020年代に必要となる項目を明示したロードマップを作成中という。

 今後10年にわたって、Solar+ Decadeによるコラボレーションや提携関係の構築に取り組み、太陽光発電を広範に普及させるうえで妨げとなっている課題を解決する。

 この目標を達成するため、太陽光だけでなく、風力や蓄電池といった再生可能エネルギー関連の技術全体で取り組むことにより、市場や顧客、電力系統という複雑で相互に関連し合った世界を変革するとしている。

 SEIAのアビゲイル・ロス・ホッパー代表兼CEO(最高経営責任者)は、「単に『Solar Decade』ではなく『Solar+ Decade』とすることにより、太陽光+蓄電池、太陽光+電力網の近代化、太陽光+風力、太陽光+圧倒的な世論の支持、などの組み合わせで今後の米国のクリーンエネルギーの普及拡大に取り組む意図だ」と説明する。

 2030年までに太陽光発電の比率を2.5%から20%まで引き上げることで、経済波及効果は3450億ドル以上、雇用は現在の約25万人から60万人までの拡大が見込めるという。

 ただ、その実現は容易ではない。目標を達成するには、太陽光発電産業として平均年率で18%の成長を続け、2020年代の毎年、平均39GW、2030年だけで77GWの導入が必要となる。また、市場の全セグメントにわたって50%近くのコストを削減する必要があるとしている(関連記事)。

 なおホッパーCEOは5月15日、米議会(下院)の科学宇宙技術委員会・エネルギー小委員会で証言し、Solar+ Decadeとともに、米国の太陽光発電産業が克服しなければならない技術や市場の課題などの概略を説明、太陽光産業における研究開発関連投資の重要性を強調した(図2)。

図2●米下院で証言するSEIAのホッパーCEO(出所:SEIA)
図2●米下院で証言するSEIAのホッパーCEO(出所:SEIA)
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