ソフトバンクロボティクスは2016年5月19日、人型ロボット「Pepper」を米Google社のAndroidに対応させると発表した。2016年7月に開発者向けモデルを先行発売する(図1)。Androidに対応させることで、Pepperを世界展開し、アプリ開発者の裾野を広げることが狙いである。従来、Pepperのアプリ開発には専用のSDK「Choregraphe(コレグラフ)」が提供されていた。「現在の数千人いるPepperのアプリ開発者の約100倍に当たる数十万人の開発者がPepperの開発に携わることができるようになる」(同社代表取締役社長の冨澤文秀氏)という。

図1 今回のモデルでは、Android OSを搭載したタブレット端末を胸部に搭載する。PepperのロボットOSである「NAOqi」と連携している。画面上のアプリのアイコンをタッチするとことでAndroidアプリが起動する。
図1 今回のモデルでは、Android OSを搭載したタブレット端末を胸部に搭載する。PepperのロボットOSである「NAOqi」と連携している。画面上のアプリのアイコンをタッチするとことでAndroidアプリが起動する。
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 同日からAndroidに対応したPepper向けSDK「Pepper SDK for Android Studio」の無償提供を開始した(図2)。2016年度内にはAndroid対応のPepperを一般向けに発売する予定だ。開発者向けモデルの料金プランは、本体価格の19万8000円に加え、Pepper基本プラン3年分と保険パック3年分を付けた総額97万5600円となる。 従来のPepperアプリを作成するためのChoregrapheは引き続き提供され、Choregrapheで開発したロボットアプリは、Androidに対応したPepperでも利用できる。

図2 Androidに対応した「Pepper SDK for Android Studio」の画面。従来のChoregrapheと同様、Pepper本体がなくても、Pepperの動作(アニメーション)を作成することができる。
図2 Androidに対応した「Pepper SDK for Android Studio」の画面。従来のChoregrapheと同様、Pepper本体がなくても、Pepperの動作(アニメーション)を作成することができる。
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 Android対応は、Pepperの胸のタブレットのOSをAndroidにすることなどで実現した。これにより、Google Playストアにある100万種類以上のAndroidアプリを そのまま利用できる。例えば、PepperがGmail上のメールを読み上げたり、Google Mapsと連携したりすることが可能だ。これまでもPepperの胸部に備えたタブレット上にYouTubeの動画を表示し、Pepperがその動画の曲に合わせて踊るといったアプリを作成することも可能だったが、Androidとの連携により、Googleのサービスとの親和性がより高まったと言える。