東関東支店のビルを改修
東関東支店のビルを改修
(出所:竹中工務店)
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月別のエネルギー収支
月別のエネルギー収支
(出所:竹中工務店)
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一次エネルギーの年間消費量を71%削減
一次エネルギーの年間消費量を71%削減
(出所:竹中工務店)
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 竹中工務店は5月17日、東関東支店(千葉市中央区)のビルの年間エネルギー収支が「プラス」を達成したと発表した。

 2003年に竣工したオフィスビル(地上2階建て、敷地面積1432m2、延床面積1318m2)を、支店の業務を続けながら省エネ改修するとともに太陽光発電システムを設置した。改修の期間は、2015年10月~2016年3月。

 改修後の本格運用を2016年5月に開始し、2017年4月で1年間が経過した。その間の太陽光の発電量がエネルギー消費量を上回った。

 利用中のオフィスビルを、執務を続けながら改修し、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB)化を実現した国内初の事例としている。

 回収による外装の高断熱化、きめ細かな環境制御技術、業務スタイルの変革によって、建物全体の一次エネルギーの年間消費量は403MJ/m2となり、改修前と比べて70%以上削減した。

 一方、太陽光発電による発電量は単位エネルギー量換算で、年間417MJ/m2だった。

 導入した太陽光発電システムの出力は約40kWで、太陽光パネルは屋上に並べた。ネット・ゼロ・エネルギーを目指しつつも、太陽光パネルの設置容量を最小限に抑えたという。

 1年間の運用により、さまざまな効果を確認できた。例えば、建物全体の断熱性を高めることで外装負荷が削減されるとともに、年間を通じて窓廻りでも温度差の少ない快適な室内環境を実現できた。

 自然採光を最大限に活用し、外付けブラインドの開閉を自動制御することで、室内の明るさを確保し、かつ照明電力を削減した。新たに開発した小型デシカント空調機と地中熱・太陽熱を直接利用する放射空調によって、快適性を維持しながら、空調エネルギーを削減した。

 また、ウェアラブル端末を使った執務者の活動量の計測や、体感申告から個人の好みを学び、最適な温度や気流に調整するウェルネス制御を実現した。

 これらの成果によって、消費エネルギーが最小化されたことで、災害時にインフラがダウンした場合でも、建物の機能を維持できる時間が長くなった。