フランスで5月7日に行われた大統領選挙の決選投票の結果、「En Marche!(アン・マルシュ!:前進!)」党首であるエマニュエル・マクロン氏が、国民戦線(FN)党首のマリーヌ・ル・ペン氏を下し当選した。

 マクロン氏は14日、フランス政治史上最も若い39歳で、第25代フランス共和国大統領に就任した。

 今回の仏大統領選の結果、フランスではオランド前政権のエネルギー政策を踏襲し、原子力や化石燃料の比率を下げ、再生可能エネルギーの導入を推進する公算が高くなった。

 マクロン氏は、オランド政権下の2014年から約2年間にわたって経済・産業・デジタル大臣を務めた経緯があり、同政権のエネルギー政策にも関わっていたためである(図)。

2014年当時のエマニュエル・マクロン経済相
2014年当時のエマニュエル・マクロン経済相
(出所:フランス政府)

 まず原子力については、現在約75%を占める原子力の比率を2025年までに50%まで低減する方向である。老朽化した原発における廃炉を進め、原子力にのみ依存することによるリスクや脆弱性を回避する狙いがある。

 ただ、マクロン政権では単に脱原発に舵を切るといったものにはならないだろう。

 政府系の電力事業者であるEDF社と原子力発電の技術開発を事業の主軸とするアレバ社の競争力を維持し、中国やロシアに対しても技術開発で主導性を維持させたいというマクロン氏の意向があるからである。

 再エネについては、電源構成に占める比率を現在の約15%から2030年までに32%とほぼ倍増させる方針となる。再エネの内訳は、主に太陽光と風力である。

 マクロン氏は2月に非政府団体や報道関係者に対し、「大統領の任期初めに、2万6000MW(26GW)分の再エネプロジェクト開発を進めるため、今後5年分の入札をカレンダーで管理したい」と述べている。