住友ゴム工業は2017年5月16日、路面の滑りやすさを走行中にタイヤで推定する技術「SENSING CORE」を発表した(図1、2)。同日に茨城県で開いた報道関係者向けの技術説明会でデモを披露した。特徴はセンサーの追加なしで実現したこと。2020年の実用化を目指して自動車メーカーに提案を進めている。

図1 滑りやすい路面におけるデモの様子
図1 滑りやすい路面におけるデモの様子
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図2 路面の滑りやすさは車輪の速度信号や振動周波数から推定
図2 路面の滑りやすさは車輪の速度信号や振動周波数から推定
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 同社は20年ほど前からタイヤの空気圧低下警報装置「DWS(Deflation Warning System)」を販売し、米国を中心に累計2500万台の車両に搭載してきた。タイヤの回転数や振動周波数の変化から空気圧の低下を推定し、センターメーターに運転者への警告を表示する仕組みだ。

 空気圧が低下したタイヤは1回転あたりの転がり距離が短くなる。通常時の転がり距離と比較すれば、タイヤの空気圧低下が分かる。また、タイヤごとの振動周波数も計測。周波数の変化によって空気圧の低下を判断する。

 同技術を基に、開発品では路面の滑りやすさを推定できるようにした。アスファルトのような滑りにくい路面を走行した時の情報を、滑りやすい路面を走行した時の情報と比較する。滑りやすい路面では、車体速度に対してタイヤの回転数がわずかに増加するとともに振動周波数も変化する。

 タイヤの回転数はABS(アンチ・ロック・ブレーキ)などに使う信号を読み取る他、既存の角度センサーなどの情報を流用する。住友ゴム工業が開発した検知システムをブレーキのECU(電子制御ユニット)に組み込んで制御する。