図1 ミリ波の送受信回路をCMOSチップ上に集積した(写真の基板の一番上のチップ)。サンプル品の価格は299米ドル。
図1 ミリ波の送受信回路をCMOSチップ上に集積した(写真の基板の一番上のチップ)。サンプル品の価格は299米ドル。
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 米Texas Instruments(TI)社は、CMOSを利用したミリ波レーダー用の送受信ICの提供を2017年5月17日から開始すると発表した。76G~81GHz帯のミリ波の送受信回路を1辺10.4mmのCMOSチップに実装した(図1)。今回の開発品を使えば、1辺25mmの基板上にミリ波レーダーを実装できるようになるという。

 対象物との距離が2mであれば、太さ50μmの髪の毛まで検知できるという。検出可能距離は最大300m。消費電力は最小150mWで、「これは現行品の約1/4」(同社 車載レーダー事業 マーケティングディレクターのSudipto Bose氏)と低い。

 ミリ波レーダーの送受信ICには、化合物半導体のSiGe(シリコン・ゲルマニウム)を用いるのが現在の主流である。Si(シリコン)を使ったCMOSの送受信ICは、SiGeのICよりも低コスト化できるとして、各社が開発を進めてきた(関連記事:コスト半減狙うミリ波レーダー、予想より早まるCMOS化)。

 今回発表したミリ波レーダー用の送受信ICは、車載向けの「AWR」シリーズと産業用途向けの「IWR」シリーズがある。MCU(マイクロコントローラー)やDSP(デジタルシグナルプロセッサー)を同じチップ内に搭載した品種も用意した。