ナノ医療イノベーションセンター(川崎市)と東京工業大学、量子科学技術研究開発機構の共同グループは、「ナノマシン造影剤」と呼ぶ新たな造影剤を開発した。悪性腫瘍(がん)内部の微小環境において、悪性度や治療抵抗性に関係する「低酸素領域」をMRIで高感度に可視化できる。

腫瘍の低酸素領域を捉える
腫瘍の低酸素領域を捉える
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 がん内部の低酸素領域には薬剤が届きにくく、放射線治療の効果も低くなるなど治療への抵抗性を示す。より悪性度の高いがんへ変化し、転移を引き起こす原因領域として注目されている。

 今回開発したナノマシン造影剤は、がん内部の低酸素領域のような微小環境を検知。MRIの信号強度を増幅するという、従来にない機能を備える。これにより、既存のMRI造影剤に比べて優れた腫瘍特異的イメージングを可能にするという。