Fraunhofer ISEによる、2017年4月24日~30日(同年第17週)のドイツでの発電出力状況。4月30日の発電状況は右端
Fraunhofer ISEによる、2017年4月24日~30日(同年第17週)のドイツでの発電出力状況。4月30日の発電状況は右端
下から、水力(紫色)、バイオマス(緑色)、原子力(赤色)、褐炭火力(薄茶色)、石炭火力(黒色)、天然ガス(オレンジ色)、季節の蓄電分(ほとんどみえない)、揚水(濃い水色)、風力(薄い緑色)、太陽光(黄色)。4月30日は、日中、褐炭火力と石炭火力が大幅に減り、原子力発電も8GW弱から約5GWまで出力を抑えている。
[画像のクリックで拡大表示]

 ドイツの調査会社Agora Energiewende社は、2017年4月30日にドイツでの電力需要のうち、再生可能エネルギーが日中13~15時の2時間、電力需要量の85%をまかなったことを明らかにした(発表資料)。同日全体でも、需要量の64%を再生可能エネルギーでまかなったという。一方、石炭火力の発電量は歴史的な少なさだったとする。

 ドイツでは5月前後は例年晴天率が高いうえ、風力発電の発電量も比較的多かったこと、一方でこの日は日曜日で全体の電力需要がやや少なかったことなどのタイミングが揃ったことが要因とみられる。

電力がマイナス価格に

 同日は11~17時前までの約6時間、13GW超の電力を周辺国に輸出し続けたが、それでも電力取引所での価格は一時期マイナス、つまりタダどころか、電力を買うとお金が貰える状況だった。理由は、いくつかのフレキシブルでない発電システムが十分に出力を下げられなかったからだという。Agora Energiewende社、DirectorのPatrick Graichen氏は、「今回のような再生可能エネルギーが支配的になる光景は今後どんどん増えて、2030年には日常的になる。一方で、今回のマイナス価格の要因となったフレキシブルでない発電システムの原子力発電所が2022年には廃止され、褐炭発電も低減していく計画であるため、2030年には価格がマイナスになるような問題は起こらない」とする。

太陽光発電は最大43%、風力発電は最大46%の電力を供給

 再生可能エネルギーが4月30日に急増した様子は、ドイツの研究所Fraunhofer ISEが公開している発電状況のデータなどをみると、より詳しく分かる(関連Webページ)。例えば、電力需要がピークだった4月30日12時で全71.55GWのうち55.5GW(77.6%)が再生可能エネルギーだった。太陽光発電の発電出力は12時に29.76GW、13時に29.89GWに達し、出力ベースで総発電出力の42~43%に達している。

12時での他の再生可能エネルギーの出力は風力発電が16.75GW、バイオマスが5.65GW、水力発電が3.33GWだった。
 
 一方、夜になると今度は風力発電の発電出力が増し、夜9時には27.77GW、その時点の総電力需要59.41GWの46%超に達した。1日の間に、太陽光発電と風力発電が互いに補完的に発電した格好だ。