住宅用太陽光発電システムの概要
住宅用太陽光発電システムの概要
(出所:太陽光発電協会)
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 太陽光発電協会(JPEA)は4月28日、熊本地震による被災を想定した、「太陽光発電システム被災時の点検・復旧・撤去に関する手順・留意点【震災編】」を公開した。

 施工担当者など、住宅用の太陽光発電システムや周辺電気設備に充分な知見がある専門技術者に向け、震災によって被災した住宅用太陽光発電システム(一般用電気工作物)の点検・復旧・撤去の作業に関する情報を発信する目的がある。

 やむを得ず、緊急避難的に撤去作業に関わる作業者も、専門技術者の指導のもと、できるだけ今回の発表資料を参照し、安全に作業を進めて欲しいとしている。また、自家用電気工作物については、電気主任技術者や専門家以外は、復旧や撤去の作業をしてはいけないことを強調している。

 まず、災害の復旧に際して、政府や各自治体による災害注意情報、復旧手順などを再優先で遵守することを求めている。例えば、がれきとともに堆積している太陽光発電設備を災害廃棄物として処理する場合、政府や各自治体の災害廃棄物対策の指示に従う。

 その上で、「JEM-TR228 小出力太陽光発電システムの保守・点検ガイドライン」(日本電機工業会)、「太陽光発電システム保守点検ガイドライン【住宅用】」(太陽光発電協会)、「BU145001 太陽光発電システム保守点検ガイドライン【10kW 以上の一般用電気工作物】 」(太陽光発電協会)も確認すべきとしている。

 被災した住宅用太陽光システムの取り扱いは、設置されている家屋の損傷状況によって異なる。家屋の損傷状況の判断については、政府が定めた被害認定基準運用指針に従って決められた専門家が担うように注意している。

 作業には、労働安全衛生法や関連省令に基づいて臨む。特に、屋根上や屋上などの高所作業は、墜転落や落下といった事故、感電の防止のため、特段の理由がない限り、余震が収束してから実施するよう求めた。

 また、安全に作業できるまでは、接続箱の開閉器、パワーコンディショナー(PCS)の運転スイッチ、太陽光発電用ブレーカー、分電盤の主電源漏電ブレーカーを、すべてオフにしておく。

 作業の際には、安全を確保するために、ヘルメットやゴーグル、マスクを着用し、高所作業時には安全帯・命綱を着用する。工具などの落下防止のため腰袋を着用する。安全靴や踏抜き防止効果のある長靴などを着用する。

 感電を防ぐため、電気用ゴム手袋などの絶縁性のある手袋を着用する。降雨時には作業しない。必要に応じて、太陽光パネルの表面を遮光用シートで覆い、発電しないように太陽光を遮へいする、または、パネル間の接続配線のコネクタを外すといった無電圧、低電圧になる処置を施す。

 区画ロープや標識板によって作業範囲を明示した上、テスタ(交流AC/直流DC)、クランプ電流計(直流DC電流が測定可能なもの)、絶縁抵抗計、検電器(直流DC電圧が検出可能なもの)を使って作業することも求めている。

 震災を受けた家屋の損傷状況によって、対応の仕方は異なるという。公表した手順書では大きく5つのパターンで解説している。以下、その対応方法の概要を抜粋する。