ドイツAudi社は2016年内に、48V電源システムを搭載した最上位SUV（スポーツ・ユーティリティー・ビークル）「SQ7」を出荷する。過給機のコンプレッサーや前後のサスペンションのスタビライザーを電動化して、加速性能や操縦安定性を高めたのが特徴。SQ7は、Q7シリーズの高性能モデルである（関連記事）。
既存の12V電源に加えて、特定の機能を高性能化するために48V電源を追加した。48V対応の主要部品は、先に示した電動コンプレッサーと電動スタビライザーに加えて、リチウムイオン電池、DC-DCコンバーターである。
SQ7は排気量4.0Lのディーゼルエンジンを搭載し、2基のターボチャージャーを組み合わせる。ただ、ターボチャージャーは排ガスで過給するため、低速域での応答性に課題がある。今回、モーターで過給する電動コンプレッサーを追加したことで排ガスの圧力に依存しないで過給できるようにした。コンプレッサーは合計3個搭載することになる。
電動コンプレッサーを装着することで、装着しない場合に比べて、スタートから2.5秒後に走行距離で2.5mの差が出るという。
スタビライザーは、左右のサスペンションの間をつなぐバー。このバーの中央にモーターを配置して切り離せる構造になっている。凹凸のある道路では、左右を切り離すことで乗り心地を改善する。一方で走りを追求する場合は、中央のモーターで左右を連結し、ねじれに対する反力をモーターで生み出すことで車両の傾きを抑える。
48V対応のリチウムイオン電池は、電池容量が470Whで最高出力が13kW。電動コンプレッサーの駆動に必要な電力は最大7kWである。発電機は最高出力3kWで、80％以上の高効率タイプを採用した。
リチウムイオン電池は荷室下に、DC-DCコンバーターは車両後方に配置した。電動スタビライザーとECU（電子制御ユニット）は、車両前後のサスペンション付近に1組ずつ配置した。
欧州では2016年春から受注を開始し、ドイツでの価格は8万9900ユーロ（1105万円、1ユーロ＝123円換算）となる。
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