図:土岐事業所の全景
図:土岐事業所の全景
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 アマダホールディングスは、パンチングマシンに装着する金型の工場を土岐事業所(岐阜県土岐市)に建設する(図、ニュースリリース)。IoT技術の採用や自動化により生産能力を向上させ、納期を最大50%短縮する。2016年3月に着工しており、2017年7月から稼働する予定だ。

 従来の工場は材料の搬入から仕上げ工程までの一貫ラインで生産しているが、新工場では各工程を自動化したセルラインで構成し、顧客ニーズに柔軟に対応する変種・変量生産を実現する。例えば、完成工程(リサイズ)のセル化によって、受注後3時間以内の加工出荷が可能になるという。従来の一貫ラインでは金型の完成までに4日間を要しており、当日受注にはオフラインの人手で対応していた。各工程をセル単位で切り離せるため、トラブル発生時の影響も最小限にできる。

 工場の全ての設備をネットワークで接続し、ワークに刻印したIDを利用することで、設備やセルの稼働・進捗・負荷の状況などをリアルタイムに管理する。素材から完成までの製品トレーサビリティーを、IDをキーとして参照することも可能だ。工具IDによる工具管理(寿命・補正・搬送)の自動化、切削液の集中管理などによるチョコ停の削減にも取り組む。

 この他、微細な傷やバリなどの検査・除去に画像処理技術を適用し、無人化の拡大と品質の安定化を図る。品質に関しては、無窓化によって年間を通じた適正温度の維持を実現。特に完成工程(刃先仕上げ)を実施する恒温室は23±1℃で管理する。遠隔メンテナンス機能により、予防・予知保全に加えてトラブル発生時の原因究明を遠隔地から実施することも可能とした。

 これらにより、新工場の月産能力は、従来の金型工場比で1.5倍の3万本。1人当たりの生産高も1250本から5000本に高め、人員を16人から6人に減らす。延床面積は6100m2である。無窓化やLED照明の採用、省エネルギー設備の導入などにより、消費エネルギー量は約40%減らせる見込みだ。

 新工場の投資額は約100億円で、内訳は設備と工場で約80億円、システム関係で約20億円とする。ロボット設備は安川電機と、IoTシステムは日立産機械システム(本社東京)や富士通と協力して構築する。

 なお、同社伊勢原事業所(神奈川県伊勢原市)の金型工場については再編し、ベンディングマシンの金型や一部のパンチングマシン用金型を製造する。伊勢原の再編と合わせると、金型の製造にかかわる人員は110人から78人に減ることになる。