電気自動車や太陽光発電を手掛ける米Tesla(テスラ)社は10日、2016年10月末に発表していた屋根一体型の太陽光発電システム「Solar Roof(ソーラールーフ)」の受注を同社公式サイトで開始したと発表した(図1)(関連記事1)(関連記事2)。

 テスラによるソーラールーフの設置は、米国内では今夏、米国外では2018年に開始するとしている。

図1●米Teslaが受注を開始した「Solar Roof」
図1●米Teslaが受注を開始した「Solar Roof」
(出所:Tesla)
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 ソーラールーフの構成要素となる「ソーラールーフタイル(ソーラー屋根瓦)」の種類は既に発表された4種類で変更はない。そのうち「スムーズ」と「テクスチャー」は今年から、「ツーソン」と「スレート」は2018年以降に提供開始するという。

 いずれも、太陽電池と一体化した屋根瓦と、太陽電池なしの屋根瓦のみの2種類を提供する。いずれも見た目は同一で、顧客が屋根面積のどの程度に太陽光発電を使用するか、自由に選べるとしている。

 ソーラールーフの耐久性には自信を示しており、ガラス部分には、設置する住宅の寿命と同期間の保証を付与するという。

 ソーラールーフの価格は、屋根の面積の35%をソーラー屋根瓦とし残りを太陽電池なしの屋根瓦とする典型的な住宅の場合、21.85ドル/平方フィート(約235ドル/m2)。価格には、優遇策などによる補助金は含まれない。この場合、ソーラールーフは5万3500ドル相当の電力を発電する。

 この価格は従来の太陽電池一体型の屋根材と比較して競争力があるとする。消費者向け情報誌として権威のある米Consumer Reportsがソーラー屋根瓦の目安として示す24.50/平方フィート(約264ドル/m2)より安いとしている(図2)。

図2●「ソーラールーフ」と通常の屋根瓦のコスト比較
図2●「ソーラールーフ」と通常の屋根瓦のコスト比較
(出所:Tesla)
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 図2のグラフでは、太陽電池なしの「ソーラールーフ」のコストは通常の屋根瓦と同程度となっている。太陽電池一体型のソーラー屋根瓦は、最初の設置コストは高いものの、発電によって得られるエネルギーの価値によって相殺されるとする。多くの場合、長期間にわたると、発電による電気代の節約金額が増え、ソーラールーフの初期コストの割高分を上回るという。このコストには、同社が提供する定置型蓄電池「Powerwall 2」を含む。

 長期的に見れば、通常の屋根材に比べて経済性があり、十分にコストメリットがあるとしている。

 なお、このコスト計算では、屋根の面積の50%をソーラー屋根瓦で構成し、電気代は13.7セント/kWh、30年間の発電を前提としている。