富士通は、2017年5月18日と19日にプライベートイベント「富士通フォーラム2017 東京」を東京・有楽町の東京国際フォーラムで行う。報道機関に向けて同イベントの内覧会および同社のAI事業戦略説明会を5月16日に会場で開いた。

登壇した谷口典彦氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。スクリーンは富士通のスライドで、デジタル化技術の推移を説明している。なお写真では見えにくいが、説明会の司会は、右端に写っている「RoboPin(ロボピン)」が行った。
登壇した谷口典彦氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。スクリーンは富士通のスライドで、デジタル化技術の推移を説明している。なお写真では見えにくいが、説明会の司会は、右端に写っている「RoboPin(ロボピン)」が行った。
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 AI事業戦略説明会に登壇した取締役執行役員副社長の谷口典彦氏によれば、デジタル技術の最初の波はInternet、第2の波はMobile Internet、第3の波はIoT(Internet Of Things)である。第3の波までで、世のなかにあるほとんどのデータがコンピューター上に集まってきた。

 そして現在、そのデータを活用するための新たな第4の波としてAIとロボティクスが押し寄せている。そのAIで富士通は優位に立つという。富士通研究所などで30年間以上にわたり培ってきたAIの知見や技術を体系化しているためだとする。実際、AI関連特許を200件以上出願しており、これは国内のITベンダーではトップの実績だという。

 同氏によれば、AI技術自体は以前からほぼ確立していた。ただ、それを利用できる演算環境や通信環境が十分ではなかった。最近はコンピューターや通信機器が進化して、AI時代になってきたという。さまざまな企業がAI技術を使ったビジネスを展開するなかで、富士通を競合から差異化するための重要な要素の1つが、スーパーコンピューターをはじめとするハードウエアとのことだった。

 例えば、優れた推論を行うためには、徹底したディープラーニング処理が欠かせない。この重たい処理を短時間に実行するのに、富士通は自社のハードウエアを活用する。そのようなハードウエアの1つとして同社は米NVIDIA社のGPU「NVIDIA Tesla P100」を搭載したディープラーニング専用サーバーを開発し、動作検証済みのストレージおよびソフトウエアと組み合わせて「FUJITSU AIソリューション Zinraiディープラーニング システム」として2017年5月16日より国内での販売を開始した(ニュースリリース1)。

NVIDIA社のGPU「NVIDIA Tesla P100」を搭載したディープラーニング専用サーバー。手前は、富士通独自の深層学習用ICの「DLU(Deep Learning Unit)」(<b><a href="/atcl/news/16/112905238/?P=2" target="_blank">関連記事:富士通がAI基盤サービス、2018年度に独自学習LSIも</a></b>)。日経テクノロジーオンラインが撮影。
NVIDIA社のGPU「NVIDIA Tesla P100」を搭載したディープラーニング専用サーバー。手前は、富士通独自の深層学習用ICの「DLU(Deep Learning Unit)」(関連記事:富士通がAI基盤サービス、2018年度に独自学習LSIも)。日経テクノロジーオンラインが撮影。
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