青山本社に設置した「パッケージ型スマート水素ステーション(SHS)」
青山本社に設置した「パッケージ型スマート水素ステーション(SHS)」
(出所:ホンダ)
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 ホンダは11日、高圧水電解システム「Power Creator(パワー・クリエイター)」を採用した「パッケージ型スマート水素ステーション(SHS)」と、出力20kWの太陽光発電システムを、東京都港区の青山本社ビルに設置し、運用を始めたと発表した。

 太陽光発電の電気で水を電気分解して水素を製造し、まず、ホンダ製の燃料電池自動車(FCV)「FCXクラリティ」の燃料として供給する。水素製造に化石燃料を使わないため、CO2フリーのモビリティシステムとなる。

 導入したSHSは、圧縮機を使用せず、製造圧力40MPa(400気圧)の水素を1日最大1.5kg製造し、約19kg貯蔵できる。晴天であれば、今回、設置した20kWの太陽光パネルで、こうした水素製造量に必要な電力を賄えるという。「FCXクラリティ」の場合、1.5kgの水素で約150km走行できるという。同車は約6kgの水素を充填できるので、最大貯蔵分だけで3台分をフル充填でき、約4日間分の製造量で1台分の水素搭載量になる。

 ホンダは、2007年にFCV「FCXクラリティ」の販売を始めた。同車は、高圧水素タンクに35MPaの圧力で充填する。SHSは、「FCXクラリティ」を想定して開発されたため、最大40MPaでの充填となる。今年3月にホンダが発売を開始した新型FCV「クラリティ・フューエル・セル」は、70MPaの高圧水素タンクを搭載している。

 青山本社に設置したSHSは、当面、すでに自社で保有する「FCXクラリティ」に水素を充填する。今後、導入予定の新型FCV「クラリティ フューエル セル」にも充填できるが、満タンにはできない。

 ホンダが、自社施設にSHSを設置したのは、埼玉県和光市の和光本社ビルに続き、2カ所目となる(関連記事)。自治体向けでは、宮城県、埼玉県、徳島県ですでに稼働しているほか、熊本県や神戸市でも稼働に向けた準備が進んでいる。

 青山本社に設置したSHSについては、一般利用を想定していないため、当面、ホンダ製のFCVへの水素充填のみになる。ただ、SHSの仕様自体は、トヨタ自動車製のFCV「MIRAI(ミライ)」への充填も可能。