千葉大学倉阪研究室と環境エネルギー政策研究所(ISEP)は3月31、「永続地帯2016年版報告書」を公表した。永続地帯(sustainable zone)とは、「その区域で得られる再生可能エネルギーと食料によって、その区域におけるエネルギーと食料の需要のすべてを賄える区域」と定義し、市町村や都道府県別に調査・分析した。
固定価格買取制度(FIT)によって、メガソーラー(大規模太陽光発電所)が人口の少ない農村地域にも建設され、稼働し始めたことから、エネルギー面の「永続地帯」が順調に増加していることが分かった。
具体的に、エネルギーの「永続性」に関しては、「域内の民生・農林水産用エネルギー需要を上回る量の再エネを生み出している市町村」を「100%エネルギー永続地帯」と定義。この調査・分析は2011年度から統計を取っており、「100%エネルギー永続地帯」となった市町村は、2011年度に50団体だったが、年々増加し、2015年度では71団体となった。
また、「域内の民生・農林水産用電力需要を上回る量の再エネ電力を生み出している市町村」を「100%電力永続地帯」と定義し、それを達成した市町村は、2011年度の84団体から2015年度には111団体まで増えた。
「100%エネルギー永続地帯」となった71市町村のうち、食料自給率でも100%を超えた完全な「永続地帯」を実現した自治体は39市町村だった。
39のなかには、ウインドファーム(大規模風力発電所)やメガソーラー(大規模太陽光発電所)が稼動している農村地域が名を連ねている。太陽光発電の集積地では、北海道むかわ町、青森県六ケ所村、福島県川内村、岡山県久米南町、鹿児島県湧水町など、風力の集積地では、北海道苫前町、青森県東通村、岩手県葛巻町、鹿児島県長島町などがある。
また、再エネ供給が域内の民生・農林水産用エネルギー需要の10%を超えている都道府県は、2011年度に8団体だったが、2015年度には25団体まで増えた。エネルギー自給率でトップは大分県(32.2%)で、以下、鹿児島県(24.9%)、秋田県(22.5%)、宮崎県(21.8%)、富山県(20.5%)となり、太陽光の急増している九州の各県が上位に入った。