トヨタ自動車が2017年5月10日に発表した2016年度(2016年4月~2017年3月)の連結決算は減収減益となった。売上高は前年度に比べて2.8%減少の27兆5971億円、営業利益は同30.1%減少の1兆9943億円、当期純利益は同20.8%減少の1兆8311億円だった。

 同社の減収減益決算は5年振りである。同日に会見した社長の豊田章男氏は、「現在の等身大の実力が素直に表れた」と述べた(図1)。

取締役社長の豊田章男氏
図1 取締役社長の豊田章男氏
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 2016年度の連結販売台数は897万1000台で、前年同期に比べて29万台増えた。主力市場の北米はセダンの販売が苦戦し、同2000台減少の283万7000台にとどまった。中南米や中近東、アフリカなどの「その他地域」は原油安などの影響で、同24万7000台減少の134万7000台だった。

 一方、日本は同21万5000台増加の227万4000台だった。「プリウス」や「ルーミー/タンク」「C-HR」などの好調な販売が寄与した。アジアも「Calya」や「シエンタ」「IMV(新興国向け世界戦略車群)」などの販売が好調で、同24万3000台増えて158万8000台となった。その他地域の落ち込みを、日本とアジアの販売増加で補った。

 販売台数は増えたが、為替変動の影響が大きかった。海外通貨に対する円高は、営業利益を7800億円押し下げた。通貨別の減益要因はドルが4750億円、ユーロが750億円、その他の通貨が2300億円である。4400億円の原価低減はあったが、為替の影響を補えなかった(図2)。

営業利益の増減要因(2016年度)
図2 営業利益の増減要因(2016年度)
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