検査時の所見を音声認識技術で効率的に登録する――。

 消化器内科分野におけるこうしたシステムに関し、製品化を目指した共同検討が始まる。着手すると発表したのは、神戸大学医学部附属病院消化器内科、富士フイルムメディカルITソリューションズ(FMI)、エヌ・ティ・ティ アイティ(NTTアイティ)、日本電信電話(NTT)の4者だ。

 消化器内科の内視鏡検査では医師の両手が塞がっているため、検査中の所見は検査後にシステムに登録するのが一般的だ。しかし、これでは検査のトータル時間が長くなる。加えて、プルダウン形式の一般的なシステムでは登録作業に時間を要する、院内感染防止としてパソコンを操作する前後にアルコール消毒や手洗いが必要となる、など医師の負担が増加する課題があった。

 そこで神戸大学消化器内科とNTTは2015年8月、模擬的に内視鏡検査をしながら音声認識技術で所見を登録する手法を共同で評価。その結果、約2~3割の時間短縮効果が認められた。これを受けて、内視鏡情報管理システムを企画・開発するFMIと、音声認識サービスを提供するNTTアイティを加えた4者で、音声認識技術を活用した内視鏡情報管理システムの製品化を共同検討することとなった。

神戸大学消化器内科とNTTが実施した共同実験のイメージ
神戸大学消化器内科とNTTが実施した共同実験のイメージ
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 今回のシステムでポイントとなるのは、診断名などを登録する音声認識の技術だ。例えば、所定のカラムに音声入力していく方式は既に実用化されているが、ひとつの単語を正しく認識させてから次の単語を発話する必要があるため、登録作業に時間を要するという弱点があった。また、フリーコメントで登録する方式については、認識率が十分でないことからまだ普及に至っていないほか、データを構造化して登録できないことから、データの再利用や検索などに適していないという側面もあった。