鈴与商事(静岡市)は、静岡市と同市公営企業管理者との間で「エネルギーの地産地消業務」の受託に関する基本契約を2月8日付で締結し、4月から事業を開始した。
電力売買の一括契約と民間投資による「バーチャルパワープラント(VVP)」を組み合わせることで、エネルギーの地産地消や市域内の経済循環を目指す。
国の補助制度に頼らず、自治体独自に民間企業と連携してエネルギー地産地消を目指し、VPPに取り組むのは珍しい。
市役所庁舎などの市有施設が使用する電力を、静岡市沼上清掃工場と静岡市西ケ谷清掃工場の廃棄物発電による電力、および鈴与商事が調達する電力で賄う。また、地域防災拠点となる市内の小中学校(80校の予定)に10kWの蓄電池を設置する。
「蓄電池群制御システム」を活用することで、平常時はDR(デマンドレスポンス=需要応答)による需給調整、非常時には防災用電力として活用する。
「VPP」は、高度なエネルギー管理により、複数の発電・蓄電設備の電力需給を制御して、あたかも1つの発電所のように制御する技術。今回の事業では、市域全体で最大で携帯電話約16万台分の電力を確保し、防災機能を強化する。
また、静岡市役所から排出される温室効果ガスを2014年度比10%削減し、281施設の電力量の約4割を地産電源で賄う。
事業期間は今年4月から2024年3月までの7年間。蓄電池設置工事などで約14億円の経済波及効果を見込むほか、静岡市の電力調達コストの総額約8億8000万円(年間約1億2500万円)削減を目指す。