「変動率毎分1%」を指標に出力変動を緩和

 蓄電池を併設することになったのは、北海道電力が2015 年4 月に公表した「太陽光発電設備の出力変動緩和対策に関する技術要件」に対応するため。この技術要件は、太陽光発電の急峻な出力変動による系統周波数への影響を抑える「短周期変動対策」が目的。北電は、接続申し込みが400MWを超えた分の2MW以上のメガソーラーについては、こうした技術要件を適用し、蓄電池の併設を求めている。

 具体的には、メガソーラーの定格出力の変動幅を、蓄電池の充放電制御と連係した合成出力で、1分間にPCS定格出力の1%以内に収める「変動率毎分1%」を指標として示している。

 短周期変動対策として蓄電池を併設したメガソーラーは、九州の徳之島と北海道日高町に稼働している(関連記事)。加えて、北海道内で複数の計画が進んでいる。これまでに公表された中では、千歳市に建設するPCS出力28MW(パネル容量39MW)に蓄電池14MWhを併設する案件が最大規模だった。「苫東安平ソーラーパーク2」はこれを上回ることになる。

 また、今回のメガソーラーは、指定電気事業者制度による無制限・無補償の出力抑制が接続条件となった。固定価格買取制度(FIT)では、無補償の出力抑制を最大30日までと定めた(30日ルール)。指定電気事業者制度の下では、無補償の出力抑制が30日を超える可能性がある。このため、ファイナンスの条件が悪化する懸念がある。SB エナジーにとって、指定制度下でプロジェクトファイナンスを組成する初めての事例となった。

 30日ルールや指定制度下での出力抑制は、再エネの増加によって系統全体の需要よりも電力供給が上回る恐れのある場合に発動され、再エネ出力を時間単位で抑制する。今回の蓄電池は短周期変動対策用のため、こうした時間単位の出力抑制への対応は想定していないという。

 今回の蓄電池導入に関し、SII(環境共創イニシアチブ)を通じた経済産業省の補助金制度は活用していない。