Delft University of Technologyが開発したチップ(出所:2016 Symposia on VLSI Technology/Circuits プログラム委員会の発表資料)
Delft University of Technologyが開発したチップ(出所:2016 Symposia on VLSI Technology/Circuits プログラム委員会の発表資料)
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 心臓のエコー(超音波)画像を、食道を通過する半導体チップで撮影する――。2016年6月に米国ハワイで開催される半導体技術の世界最高水準の国際学会「2016 Symposia on VLSI Technology/Circuits」では、そんな使い道を想定した半導体チップが登場する。

 最近の半導体分野の国際学会では、バイオ・ヘルスケア用途を想定した発表が増加中。今回も、Circuits(回路)に関する全375件の投稿論文のうち61件と、最大の占有率を誇ったのが「センサ・バイオ・ヘルス」分野。プログラム委員会が選んだ10本のハイライト論文においても、うち3本がヘルスケア関連だ。

 オランダDelft University of Technologyは、飲み込むことで、食道内で心エコー画像を取得できる半導体チップを発表する。生体内に入れる半導体チップでは「発熱すると潰瘍などの要因となるため、消費電力を抑えることが非常に重要」(プログラム委員会)。心エコー撮影に必要な解像度やフレームレートを確保しようとすると、チップの発熱は大きくなりがち。これに対し開発チームは、撮像に必要なビームフォーミングを低電力化する手法などを開発。高画質の心エコーを、飲み込めるほど低電力の半導体チップで得られるようにした。