タイ向けは年2.5~3倍で推移

日本は住宅の自家消費、海外はタイに注力
日本は住宅の自家消費、海外はタイに注力
(撮影:日経BP)
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 海外の出荷先では、米国が低調となっている。

 中国内の需要が想定ほど伸びなかったことに起因する。この需要を見込んでいた中国メーカー各社の太陽光パネルがだぶつき、2016年度上期以降、米国に低価格で流れ込んでいる。

 谷本社長によると、その価格は「事業として成り立たないところまで落ちている」。京セラでは、採算が合わないような低価格競争を控えていることから、米国向けの出荷が低下している。

 2017年度も、米国市場の状況は変わっていないことから、北米向けの出荷が5%下がることを見込んでいる。

 米国向けの出荷減の穴を埋めると期待しているのが、タイ向けという。2017年3月期の時点で、前の年度に比べ約3倍に拡大しており、2018年3月期は、さらに同約2.5倍に拡大することを見込んでいる。

 タイでは、法人税の控除といった補助政策の活用による太陽光発電システムの導入が活発になっている。この需要を開拓していく。

 例えば、タイに進出している日系企業への営業を強化する。現地の工場屋根への設置などを提案する。

 また、タイの太陽光発電大手のSPCG社との連携を強化し、販売量を増やす。

 SPCG社は2010年以降、タイ国内で太陽光発電所の開発・運営を手掛け、多くのメガソーラー(大規模太陽光発電所)を運営している。SPCG社のメガソーラーの多くに、京セラが太陽光パネルを供給している。

 SPCG社は、京セラと東京センチュリーが共同で開発している、鳥取県米子市の出力約30MWのプロジェクトにも参画している(関連ニュース)。2018年に稼働を開始する予定となっている。

 京セラでは、タイのほか、フィリピンなどでも太陽光発電システムの出荷量を増やせると見込んでいる。

 国内では、2019年以降、買取期間の終了する住宅太陽光があり、自家消費モデルに転換する可能性がある。こうした住宅に対して、蓄電システムやHEMS(住宅エネルギー管理システム)などを組み合わせて提案し、新規需要を開拓する。