国土交通省は2016年5月2日、三菱自動車の車両の燃費・排ガスを測定する独自試験を開始した(図1)。燃費データの改ざんがあった「eKワゴン」など4車種の軽自動車を対象とする。結果は同年6月中に公表する予定だ。

図1 埼玉県熊谷市にある交通研の試験場のコースに運び込まれる三菱自動車の試験車両
図1 埼玉県熊谷市にある交通研の試験場のコースに運び込まれる三菱自動車の試験車両
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 試験を担当するのは、同省所管の独立行政法人自動車技術総合機構・交通安全環境研究所(以下、交通研)。埼玉県熊谷市にある試験場のコースで2日午前、車両の燃費や排ガス性能を算出する際に必要となる「走行抵抗値」の計測を始めた(図2)。

図2 2016年5月2日朝に報道陣に公開した走行抵抗値の測定実験
図2 2016年5月2日朝に報道陣に公開した走行抵抗値の測定実験
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 走行抵抗値は通常、自動車メーカーが測定して国に提出し、そのデータを使ってシャシーダイナモメーター(台上試験装置)で燃費と排ガスを計測する。三菱自動車は燃費を良く見せるため、虚偽の走行抵抗値を申告した。このため今回、国は異例となる独自試験に乗り出した。

 国の独自試験では、道路運送車両法で規定されている走行抵抗値の測定方法である「惰行法」を用いる。惰行法は、車速が一定以上に達した後にギアをニュートラルに入れて惰行運転に切り替え、10km/h刻みの指定速度における減速時間(惰行時間)を測定するもの。惰行中は、ステアリングやブレーキなどの操作はしない。惰行時間を基に、走行抵抗値を算出する。