ドイツVolkswagen(VW)社は2017年4月27日、カーボンニュートラルへの取り組みとして新しい電気駆動システムや天然ガスエンジンなどを、「第38回ウィーンモーターシンポジウム」(2017年4月27~28日)で出展した。マイクロハイブリッド車(HEV)から電気自動車(EV)まで、様々な電動車を展示した。マイクロHEVでは、エンジンを止めて惰性走行できる機能「Coasting - Engine off」を、今回初めて発表した。

 現在のアイドリングストップ機能は、車両が停止してから、あるいは停止する直前にエンジンを止める、今回の新機能では130km/hまでの走行中にエンジンを止めて惰性走行する。12Vの車載電力系統に小型のリチウムイオン電池を追加することで実現した。「Q-Diode」という部品が、リチウムイオン電池と鉛蓄電池との間の電流を調整する。エンジンを再始動するには、スターターかDCT(Dual Clutch Transmission)「DSG」のクラッチを使用する。走行状況や速度によっては組み合わせて利用するという。

 新機能により100km当たりの燃料消費量が0.4L削減でき、通常のマイクロハイブリッドシステムより0.2L少なくなるという。この機能は2017年夏に発売する「Golf TSI BlueMotion」に搭載する予定だ。

e-Golfは航続距離を300kmまで拡大

 この他の電動車として、プラグインハイブリッド車(PHEV)のコンセプト車「Golf GTE」や、新しいEVの「e-Golf」を出展した。新型e-Golfの電気駆動システムは最高出力が100kW、最大トルクが290N・m、最高速度が150km/hとなっている。従来と比べて出力が15kW、トルクが20N・m向上し、最高速度も10km/h上がっている。さらに、リチウムイオン2次電池もセルの化学的性質と構造を改善し、容量が24.2kWhから35.8kWhに増えた。これにより航続距離は190kmから300kmに拡大した。同社は、新しい電動車両向けプラットフォームを開発しており、新しい駆動システムを使ったモデルは2020年に発売する予定。

新型e-Golfの電気駆動システム
新型e-Golfの電気駆動システム
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