起工式の様子
起工式の様子
(出所:日経BP)
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挨拶するガイアパワーの藤崎耕治社長
挨拶するガイアパワーの藤崎耕治社長
(出所:日経BP)
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木は切るが、根は残す
木は切るが、根は残す
(出所:日経BP)
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土地の起伏はそのままに、パネルを並べる
土地の起伏はそのままに、パネルを並べる
完成後のイメージ(出所:鹿屋大崎ソーラーヒルズ)
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 ガイアパワー(徳島県阿南市)、京セラ、九電工、東京センチュリー(旧社名:東京センチュリーリース)は4月27日、鹿児島県鹿屋市と大崎町にまたがる土地で、出力約92MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)の起工式を開催した。九州で最大規模としている。

 発電事業者は、4社が共同出資して設立した特定目的会社「鹿屋大崎ソーラーヒルズ合同会社」(鹿屋市)となる。出資比率は、ガイアパワーが72.7%、京セラ、九電工、東京センチュリーがそれぞれ9.1%となっている。

 太陽光パネル出力の約92MWに対して、連系出力は75.64MWとなっている。

 メガソーラーを開発する土地は、約40年前にゴルフ場を開発する計画が進んでいたが、頓挫した経緯がある。ゴルフ場の開発計画時には、林地開発の申請はなされていなかった。メガソーラーの開発向けに林地開発許可を得て、環境への影響調査を1年間実施した。

 敷地面積は約200万m2で、南北に約2.5km、東西に約1.2kmと広大な山林である。このうち約130万m2で木を伐採し、太陽光発電設備を設置する。残りの約70万m2は、森林として残す。

 当初の計画では、2015年下期に着工する予定だったが、約1年半延びた。この理由は、広大な土地で、かつ、森林だったことに起因する。

 ガイアパワーの藤崎耕治社長によると、まず、用地の買収に難航した。地権者は200人以上おり、中には、故人の登記のままで未相続状態だったり、本人が行方不明な地権者もいたことから、取りまとめに苦労した。

 次に、森林に開発しながら、雨水や土砂の流出を防ぐための手法の検討にも時間を要した。

 森林を乱開発するようなメガソーラーの開発が全国で問題視される中、今回の土地は、「シラス台地」(鹿児島・宮崎の火山噴出物を多く含む台地)と呼ばれる特徴的な地盤で、地表を崩してしまうと地山が傷みやすい。

 そこで、鹿児島県と協議し、造成を最小限とすること、さらに、木を伐採しても伐根はしないことによって、土地をできるだけ傷めずに開発することにした。

 木を切っても、根は残しておくことで、雨が降っても従来のように土地が水を吸収し、鉄砲水のように一気に周囲に流れ出たり、土砂が流れることを最小化する。

 斜面はそのまま生かすため、傾斜が20~30度の急斜面に対応できる重機や、架台を新たに開発する必要があった。重機はスイスの林業用機器を応用し、架台はオーストラリアの企業と共同開発した。架台は、杭基礎に固定する。

 こうして34万740枚の太陽光パネルを、山林の土地の起伏に合わせるように並べる。京セラ製を採用し、275W/枚、278W/枚の2種類を導入する。