事業用不動産サービス大手、CBRE(東京都千代田区)は、太陽光発電の期待利回り(IRR=内部収益率)の調査を開始し、その結果を4.75%と発表した。調査を始めた経緯やメガソーラー(大規模太陽光発電所)のセカンダリ市場の状況などに関して、佐々木清次・シニアディレクターに聞いた。

――太陽光発電に対する期待利回りを調査することになった経緯は何ですか。

CBREの佐々木清次・シニアディレクター
CBREの佐々木清次・シニアディレクター

佐々木氏 不動産投資信託のリート(REIT=Real Estate Investment Trust)を参考に東京証券取引所が2015年、メガソーラーを主な投資対象とした「インフラファンド市場」を創設しましたが、歴史のあるリートに比べると、情報が少なく、不動産を対象にしてきた投資家の多くは、「太陽光発電設備はよくわからない」というのが本音です。

 そこで、不動産投資市場と同じ手法で、投資家にメガソーラーの投資情報を提供できないかと考えたのです。

――具体的にはどんな方法で情報を集めるのですか。

佐々木氏 CBREでは、四半期ごとに不動産投資の期待利回りを投資家にアンケート調査し、その結果を「JAPAN REAL ESTATE INVESTMENT」(日本不動産投資)として提供しています。これまで、オフィスビル、賃貸マンション、商業施設、ホテル、倉庫の分野別に集計していましたが、2017年1月発行版(2016年第4四半期)から、「太陽光発電」を新たに加えました。

 今回の調査は初めての太陽光に関する調査だったため、不動産投資家に対して、太陽光発電事業への投資状況も聞いてみました。その結果、「すでに太陽光発電に投資している」「同発電への投資を検討している」との回答が全体の23%を占め、関心の高さをうかがわせました。

――太陽光の期待利回り(プロジェクトIRR)が「4.75%」となりました。この数値は、IRR5%以上を目指している事業用太陽光の開発時のIRRよりやや低い程度です。

佐々木氏 4.75%はあくまで平均値であって、下限は4.25%、上限は5.25%となります。リスクのあるプロジェクト開発時の想定IRRは6~7%を狙うのが一般的ですが、既存施設で運用の安定したメガソーラーへの投資は当然ながらリスクが下っている分だけ、期待利回りは低めになります。