重点2事業の売上高予測
重点2事業の売上高予測
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 日本電産は2016年4月26日、前日に発表した2016年3月期(2015年度:2015年4月〜2016年3月)の通期決算に関して、証券アナリストや報道機関などに向けて説明会を開催した(関連記事)。この中で、今期(2016年度)以降の事業戦略について語った。

 特に時間を割いて説明したのが、「重点2事業」(日本電産)と位置付ける「車載用製品(モーターやポンプ、センサーなど)事業」と「家電・商業・産業用製品(モーターや駆動装置など)事業」についてである。前者の2015年度通期の売上高は約2713億円で、後者は同2834億円だった。この2事業は、「安定軌道に乗った」(日本電産 代表取締役会長兼社長の永守重信氏)とし、M&Aを含まない自律成長(同社は「オーガニック成長」と呼ぶ)のみで、2020年度に2事業で「売上高1兆円、営業利益1500億円が視野に入った」(同氏)と自信を見せた。

パワートレーン系の電動化に向けた製品に注力
パワートレーン系の電動化に向けた製品に注力
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 この目標を実現するために、車載製品の新しい戦略として、パワートレーン系の電動化に向けた製品に力を入れることを明らかにした。自動車のトランスミッション(変速機)やディファレンシャル(差動装置)に電動アクチュエーターを、前後輪の駆動に「スイッチトリラクタンス(SR)モーター」を向ける。SRモーターは、ローターとステーターの間で生じる磁気抵抗(リラクタンス)の差を利用してローターを回転させるもの。永久磁石を利用しない、構造が簡素、といった理由から安価に作れる可能性がある。ただし、騒音や振動が大きくなる課題があった。日本電産はこうした課題の解決し、「実用化にメドをつけた」(永守氏)。SRモーターに関しては、「海外を中心に、顧客との取り組みが進展している」(同氏)という。