決算説明会に臨む永守氏
決算説明会に臨む永守氏
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 日本電産は2016年4月25日、2016年3月期(2015年度:2015年4月〜2016年3月)の通期決算を発表した(決算短信)。連結売上高は1兆1782億9000万円で前年同期比14.6%増、営業利益は1245億3800万円で同12.3%増と、増収増益だった。売上高は4期連続の増収、営業利益は3期連続の増収で、いずれも過去最高を更新した。

 ただし、同社が今後の新しい中核製品と位置付けるスマートフォン向け触覚フィードバック部品の売上は、同社の予測を下回った。2015年度第3四半期から第4四半期にかけて「受注が予想外に減った」(日本電産 代表取締役会長兼社長の永守重信氏)ためである。その結果、同部品の製造設備の減損で35億円、売上数現象による製造設備の稼働率低下を加えると、「65億円のマイナスになった」(永守氏)。触覚フィードバック部品を含む「その他小型モーター」の2015年度第4四半期の売上高は503億9100万円と、直前四半期(第3四半期)に比べて、31.8%減った。

 日本電産は公式には認めていないが、同社の触覚フィードバック部品は米Apple社の腕時計型端末「Apple Watch」やスマートフォン「iPhone 6s/6s plus」に採用されている(関連記事)。iPhone 6s/6s Plusの販売不振の影響を受けたかたちである。

 予測は下回ったものの、通期で見ると触覚フィードバック部品は業績に貢献。その他小型モーターの通期の売上高は2400億1400万円で前年同期比23.8%増になった。HDD用モーターを加えた、「精密小型モーター」製品の事業全体では、通期の売上高は4479億8800万円で、前年同期比12.6%増、営業利益は681億2700万円で同8.0%増となった。