東北大学 東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)は2016年4月23日、コホート研究で収集した健康調査情報とゲノム解析情報を統合したデータベース「dbTMM」を開発し、1070人分のデータの制限付き公開を始めたと発表した(プレスリリース1)。個別化医療の実現に向けた研究に提供するもので、所定の登録・審査の手続きを経て同データベースを利用できる。同日、東京都内で記者説明会を開催した。

ToMMo機構長の山本雅之氏
ToMMo機構長の山本雅之氏
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 ToMMoは2012年から、東日本大震災の復興事業として岩手医科大学 いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)と共同で、「東北メディカル・メガバンク計画」を進めてきた。宮城県と岩手県の住民計15万人を対象とするコホート研究を通じ、個別化予防・医療の基盤づくりを目指すプロジェクトだ。登録者数は、2016年4月時点で13万人を超えた。

 その柱となる取り組みの1つが「複合バイオバンク」の構築。複合バイオバンクとは、血液や尿などの生体試料を大規模に集めて研究に供する「バイオバンク」と、ゲノム情報などの「解析センター」を併せ持つシステムを指す。生体試料を分譲するだけでなく、解析後の情報を分譲できるのがその強み。生体試料の枯渇を懸念せずに、より多くの研究者にバイオバンクを利用してもらえる仕組みだ。