寄贈式の様子
寄贈式の様子
(出所:日経BP)
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増設した排水ポンプ
増設した排水ポンプ
(出所:日経BP)
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基礎架台の設置が進んでいる
基礎架台の設置が進んでいる
(出所:日経BP)
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 岡山県瀬戸内市の錦海塩田跡地で建設中のメガソーラー(大規模太陽光発電所)建設現場で4月21日、排水ポンプと非常用発電設備の寄贈記念式が開催された。排水ポンプと発電機は、メガソーラープロジェクトの一環で建設され、発電事業会社から市に寄贈された。

 錦海塩田跡地を再開発するメガソーラープロジェクトは、出力約230MWの国内最大級の太陽光発電事業を核に、塩田跡地の浸水対策などを強化する「安全安心事業」、塩性湿地特有の多様な生態系を保全する「環境保全事業」という3つの事業からなる。

 今回、寄贈された施設は、安心安全事業の1つとなる。干拓地である塩田跡地の地面は海面よりも低い。浸水を防ぐためには常時、水を汲みだす必要があるが、これまでポンプの老朽化と停電時における動力源の確保が課題になっていた。そこで、メガソーラーの収益を活用して、ポンプ(流量6900m3/h)の増設と非常用発電機(1000kW)を新設し、塩田跡地を所有・管理する瀬戸内市に寄贈することになった。

 安心安全事業では、すでに塩田跡地内の排水路の拡幅工事を終了し、来年初めには堤防の補強と、防潮堤の新設工事が完了する。また、環境保全事業では、今年2月に16haの広さのハビタット(生態系を維持する環境)を設置していた。

 発電事業では、太陽光パネルとパワーコンディショナー(PCS)を設置するための基礎の工事が進んでいる。架台の基礎は、コンクリートによる置き基礎と、地中にコンクリート杭を打ち込む方法を使い分ける。これまでに置き基礎の9割、杭基礎の約5割の施工が済んだ。現在、管理者も含め約400人/日が工事に従事している。プロジェクト全体の進捗率は約35%まで進んだ。今年秋には、太陽光パネルの据え付け工事が始まる予定で、2019年春の発電開始を目指す。

 プロジェクトの事業体は、特定目的会社(SPC)「瀬戸内 Kirei 未来創り合同会社」で、同SPCには、米GEエナジー・フィナンシャルサービス、東洋エンジニアリング、くにうみアセットマネジメント、中電工が出資した。総事業費1100億円のうち約900億円を融資でまかなう。三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の3行を幹事銀行とした28金融機関が参加したプロジェクトファイナンスを組成した。

 EPC(設計・調達・施工)サービスは、東洋エンジニアリングと清水建設が担当し、太陽光パネルは、半分をトリナ・ソーラーが供給する。パワーコンディショナー(PCS)は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)製と東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。