ドローンとクラウドコンピューティングを活用
ドローンとクラウドコンピューティングを活用
(出所:エナジー・ソリューションズ)
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報告まで即日で対応可能に
報告まで即日で対応可能に
分析と報告の作製の自動化で、さらに効率化(出所:エナジー・ソリューションズ)
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 環境やエネルギー関連向けのIT関連サービスを手掛けるエナジー・ソリューションズ(東京都千代田区)は4月21日、無人小型ヘリコプター(ドローン)を活用した太陽光パネルの不具合発見サービスを開始すると発表した。

 ソフトバンク・テクノロジー(東京都新宿区)、サイバートラスト(東京都港区)、M-SOLUTIONS(東京都新宿区)と共同で開発している。

 2016年8月にサービスを本格展開する予定で、現在はプロトタイプ(試作)のシステムを使い、出力約5MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)などで検証している。

 ドローンを使って上空から太陽光パネルを撮影し、その画像を分析して不具合が生じた可能性のあるパネルを特定し、報告する。サービスの主な対象は、O&M(運用・保守)事業者を想定している。O&M事業者が、この報告を基に発電事業者に助言、提案する。

 サービスでは、赤外線カメラで上空から熱分布の画像を撮影する。周囲に比べて過剰に温度が高い場所を含むパネルを特定する。電極のはんだの不具合や、落ち葉の付着などにより、パネルが部分的に過剰に発熱する「ホットスポット」と呼ばれる現象により、出力に異常が生じている場所を発見できる。

 今回のサービスの特徴は、熱分布の画像の分析による不具合を生じた可能性のあるパネルの特定や、その位置情報などを含む報告の作製を自動化する点にある。

 ドローンを使った同様の取り組みでは、上空からの撮影や、その運用に自動飛行を採用することで、撮影を効率化している。ただし、撮影した画像の分析や、報告の作製は人手による作業となっており、手間や時間を要している。今回は、ここまで自動化し、効率化する。

 分析と報告の作製には、従来の人手による作業では4~5日程度が必要なのに対して、自動化によって即日で可能となるとしている。

 現在の検証では、分析や報告の作製は手動となっており、8月のサービス開始までに自動化を目指している。

 クラウドコンピューティングの活用も、このサービスの実現のカギとなっている。ドローンの飛行経路の設定、撮影した画像の送信や分析、報告の作製などは、クラウド上での作業となる。

 ドローンで撮影した画像は、位置や飛行航路の情報を含んでおり、人手では手間のかかる分析や位置の特定などは、クラウド上で自動処理できるように開発を急いでいる。

 共同開発した4社は、クラウドコンピューティングの利点を生かしながらドローンの活用を目指す「セキュアドローン協議会」の会員企業という。

 赤外線カメラを使った太陽光パネルの撮影や不具合の解析についてはエナジー・ソリューションズ、ドローンとクラウド間の送受信データの暗号化などはサイバートラスト、クラウド上でのデータの蓄積や分析はソフトバンク・テクノロジー、画像の位置情報を使った地図上へのマッピングはM-SOLUTIONSが、それぞれ担っている。

 O&M事業者へのサービスの提供価格は、オープン価格としている。エナジー・ソリューションズの森上寿生社長によると、現在、ドローンを使った太陽光パネルの不具合報告サービスの価格は、出力1MWのメガソーラーで一般的に30万~50万円となっており、これを下回る価格で展開する予定という。