「LTspiceユーザーの集い 2017」(2017年4月18日に大阪、2017年4月21日に東京で開催)での講演などのために来日した、LTspice開発者のMike Engelhardt氏(米Analog Devices社、Director of Simulation Development CTO Office)に話を聞いた。LTspiceは2016年5月に最新版の「LTspice XVII(seventeen)」に更改された。従来版の「LTspice IV(four)」との違いや、米Linear Technology社がAnalog Devicesに買収された後のLTspiceの開発体制を聞いた。

Mike Engelhardt氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。
Mike Engelhardt氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。
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 まず、最新版が「LTspice V(five)」ではなく「LTspice XVII」になった理由を質問した。実は記者は、更改時期から考えて「2017年を先取りした"17"」かと想像していた。しかし、Engelhardt氏の答えはこうだった。「LTspiceが誕生して17年目に開発したから」(同氏)。数字が大きく変化したとの同じように、LTspice XVIIはLTspice IVから大きな改善があったと同氏は述べた。特にGUIの使い勝手が大幅に向上したとする。

 回路シミュレーターであるLTspiceは、GUI部分と本体の演算部分からなる。本体部分は処理速度を高めるために大半がアセンブラーで書かれている。一方、GUI部分は米Microsoft社の「Visual Studio」で開発しているという。同氏によれば、開発当初から同じバージョンのVisual Studioを使い続けていたが、そのバージョンのVisual StudioがWindows 7以降のWindowsではうまく稼働しなくなり、作成するGUIに制限が生じていたとのことだった。シミュレーション本体の処理速度には自信があったものの(関連記事:無料のLTspiceがEDAベンダーの製品より勝っている理由、開発者のEngelhardt氏に聞く関連記事:100万人のユーザーがいるLTspice、最も多い質問とは)、GUIの改善は課題だった。