「1拍ごとの血圧測定によって脳・心血管疾患(イベント)の発症をゼロに」——。オムロン ヘルスケアは、手首に機器をつけるだけで1拍ごとの血圧を測定できる技術を開発した。目指すのは、連続して血圧を測定することで、リスクの高い血圧変動を捉え、イベントの発症を未然に防ぐことだ。
2016年4月18日に開催された記者会見の冒頭で、オムロン ヘルスケア 代表取締役社長の萩野勲氏は、イベント発症後の過酷さを次のように訴え、今回の技術の実用化に強い意欲をみせた。「パパがんばれ、の声が聞こえる。涙を流し、悔しさを物にぶつけながらリハビリに励む40代男性の姿は見ていられなかった…」。
新開発の圧力センサー46個を一列に
1拍ごとの血圧測定には、「トノメトリ法」と呼ぶ方法が知られている。体表に近い動脈に圧力センサーを押し当てて血圧を検出する方法だ。しかしトノメトリ法を利用した従来の血圧測定は、手首でとらえた1拍ごとの血圧値と上腕で測った血圧値を照らし合わせる必要があるため、大型の機器を使った複雑な測定だった。
さらに、トノメトリ法では圧力センサーを動脈に対して平行に当てる必要があるが、従来の機器は1つのセンサーを動脈の1カ所に当てるだけだったため、センサーが適切に押し当てられているか確認することができなかった。