米Tektronix社は、ミッドレンジの任意波形発生器「AWG5200シリーズ」を発表した(日本語ニュースリリース)。2007年に発表の「AWG5000シリーズ」(関連記事:「MIMO回路を1台で試験」,4チャネル出力対応の信号発生器をTektronix社が投入)の後継機種に当たる。
新製品は最大8チャネルだが、筐体を接続することで任意のチャネル数の波形発生器を構成できる。「MIMOの開発や試験などにおいて多数チャネルの波形発生のニーズが高まっており、新製品はそれに応えることができる」(日本法人のテクトロニクス)。縦積みしたり、ラックに縦方向に並べて収納しやすいように、高さは153.6 mmに収めた(幅は460.5 mm、奥行きは603 mm)。前面ハンドルや筐体は明るい水色で、既存の計測器の落ち着いた感じの水色とは異なり、ビビッド感を醸(かも)し出す。「昨年(2016年)のロゴ刷新に沿ったデザインになった」(同社)という(関連記事:「変わったのはロゴだけじゃない」、創業70周年のTektronix)。
外観の印象を変えた一方で、任意発生器としての性能や機能は、老舗(しにせ)の計測器メーカーの伝統を守ったとする。サンプルレートは10Gサンプル/秒、垂直分解能は16ビットと高い。「統合型のミッドレンジ任意波形発生器としては、16ビットは業界最高」(同社)とする。また、SFDR(Spurious-Free Dynamic Range)は-70dB(10Gサンプル/秒、直流~1.25GHz)。周波数帯域は最高8GHz、-3dBの帯域は2GHzである。1チャネル当たりのレコード長は2Gサンプル。
テクトロニクスによれば、新製品では各チャネルが完全独立設計なことも特徴だとする。このため、例えば、チャネル間のインターリーブで、レコード長が短くなったり、分解能が下がったりするようなことはないという。チャネル間のスキューは10psと小さいため、複数チャネルの任意発生器としての精度は高いとする。
また、チャネル当たりのコスト(価格)が低いことも新製品の特徴だとする。8チャネルの機種では、チャネル当たりのコストは140万円以下とのことだった。なお、新製品には、他の計測器に対するトリガ発生などに向けたデジタル出力が32チャネル用意されている。