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HOMEエレクトロニクス電子デバイス > 有機ELの鍵握る封止の新技術や、4K対応のマスク

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有機ELの鍵握る封止の新技術や、4K対応のマスク

ファインテック ジャパンに見るフレキシブル有機EL技術(3)

  • 鵜飼 育弘=Ukai Display Device Institute 代表
  • 2016/04/18 13:52
  • 1/5ページ

 ディスプレー製造技術関連の展示会「第26回ファインテック ジャパン」が東京ビックサイトで4月6日から8日の3日間にわたって開催された。「Photonix 2016」(光レーザー技術展)や「高機能フィルム展」なども同時開催された。これらの展示会では、米Apple社の「iPhone」への採用が取りざたされているフレキシブル有機ELディスプレーの関連企業の動きが活発になっている様子が伺えた。連載の第3回目の今回は、常温接合技術によるガラスとポリイミド(PI)膜の接合と剥離、および有機EL素子の封止と、蒸着用インバー電鋳マスクについて紹介する。

表面活性化接合によるガラスとポリイミド膜の接合と剥離

 高分子フィルムとガラスを接合しつつも、加熱すれば容易に剥離できる「表面活性化接合」技術をランテクニカルサービスが開発した。連載の第2回で取り上げたように、フレキシブル基板の材料として用いるポリイミド(PI)フィルムは、支持体であるガラス製キャリア基板(搬送ガラス)上に作製した後、搬送ガラスから剥離するためにレーザー処理しなければならなお、このため、製造歩留まりとコストが課題になっていた。剥離が容易な表面活性化接合技術は、これらの課題の解決に道を開く技術して期待を集めている。これは、常温接合技術の1つである。

 同社が開発した常温接合技術では、まず、搬送ガラスとPIフィルムそれぞれの表面に、アルゴン(Ar)イオンビームを当て、酸化膜や吸着膜を除去して表面を活性化する。次に、イオン・ビーム・スパッタリングで鉄(Fe)ドープのシリコン(Si)を5nm~20nmの厚みの密着層として形成する。最後に、それぞれの表面に形成したFeナノ密着層(もしくはSi中間層)を合わせ、真空下で接合する(図1)。

図1 Si薄膜を中間層としたFeナノ密着層による常温接合技術
(出典:ランテクニカルサービスの提供資料)

 接合した搬送ガラスとPIフィルムは、400℃程度の高温下で約1時間加熱すれば接合強度が低下し、容易に剥離できるようになるという。なお、ここでの加熱はデバイス製造プロセス上のものであり、剥離のための条件ではない。Si中間層やFeナノ密着層の厚みを調節し、初期の剥離強度を調整することにより、最終の剥離強度を制御できる。

 常温接合の主な特徴は、以下の通り。
・接合時間が短い。原理的には秒単位で接合が完了する。
・接合後のずれはないため、高いアライメント精度が実現できる。
・常温接合での接合のため、熱による変形なし。
・金属、ガラス、フィルムなど、あらゆる材料を接合できる。
・接合力を制御できるため、接合と剥離を同じ常温接合法で実現可能。(ディボンディング・プロセス導入への可能性)

 常温接合は分子間結合を利用した直接接合なので、下記の条件が求められる。
・表面粗さ(R-Max)が10nm以下であれば、低圧接触するだけで接合できる。
・それ以上の粗さの場合は、加圧や研磨などが必要になる場合がある。
・接合環境として10-6Pa程度の真空が求められる。

 図2に、常温接合によるガラス/フィルムの接合・剥離のプロセスを示す。この技術は、従来の工程のように加熱や薬液などを使用せずに、機械的に剥離できる。従って、作製したデバイスに対するダメージを軽減することができる。

図2 常温接合によるガラス/フィルムの接合・剥離
(出典:ランテクニカルサービスの提供資料)

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