電源種別ごとの「一般負担の上限額」 
電源種別ごとの「一般負担の上限額」 
(出所:電力広域的運営推進機関)
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設備利用率に連動させて上限額を決めた 
設備利用率に連動させて上限額を決めた 
(出所:電力広域的運営推進機関)
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 電力広域的運営推進機関(以下、広域機関)は3月16日、発電所の建設に伴う電力系統の増強費用のうち、託送料金で回収する「一般負担」の上限額を公表した。最大受電電力1kW当たり4万1000円を基準に電源種別ごとに設定した。再生可能エネルギーでは、太陽光1万5000円/kW、陸上風力2万円/kWなどとなった。

 発電設備の設置に伴う系統増強費の費用負担のあり方は、経済産業省が2015年11月に策定した「効率的な設備形成・費用負担ガイドライン」で規定された。負担の方法は、2つ。電力会社が負担して託送料で回収することで、全電気利用者が負担する「一般負担」、そして、発電設備の設置者が負担する「特定負担」だ。基幹系統は原則として「一般負担」、それ以外の送配電設備については、「一般負担」と「特定負担」の割合を個別に算定する、という形になった。

 従来、固定価格買取制度(FIT)により国民負担で導入される再エネ電源においては、全額「特定負担」として運用されてきた。「費用負担ガイドライン」により、FIT対象の電源であるか否かにかかわず、統一的な費用負担の考え方が適用されることになった。その結果、再エネ電源については、系統接続にかかる費用は確実に減少することになる。

 ただ、一般負担が著しく多くなった場合、最終的に電気利用者の負担が増すことになるため、効率的な設備形成の観点から、「一般負担の上限額」を設定し、超えた分は特定負担とすることなった。その上限額を今回、広域機関が指定した。

 上限額は、設備利用率によって電源ごとに決めた。設備利用率70%の原子力、石炭火力、LNG火力、石炭混焼バイオマスの4万1000円/kWを基準に、その他の電源は、同率12%の太陽光が1万5000円/kW、同率23%の陸上風力が2万円/kW、同率87%の木質専焼バイオマスが4万9000円/kW、同率83%の地熱発電が4万7000円などとなった。

 設備利用率によって上限額を決めることに関し、太陽光発電協会(JPEA)は「ベースロード電源を優遇し、(太陽光や風力など)自然変動電源を劣後させている。このような旧来の考え方で系統を整備した場合、2030年に再エネ比率22~24%という国のエネルギー政策と整合していない」と批判していた。