ルネサス エレクトロニクスは、人工知能(AI)によって良否判定や予知保全などを行う模擬生産ラインを、2017年4月11日に開催された同社のプライベートイベント「Renesas DevCon Japan 2017」で展示した(関連記事)。同イベントに合わせて同社が打ち出した、学習済みニューラルネットを組み込み機器に実装する「e-AIソリューション」をアピールするものである(ニュースリリース)。

ルネサス エレクトロニクスが披露した模擬生産ライン
ルネサス エレクトロニクスが披露した模擬生産ライン。ベルトコンベヤーを流れる自動車の模型の良否判定、モーターの故障予測、ベルトの状態把握にAIを活用している。
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 模擬生産ラインでは、小型のベルトコンベヤーに自動車の模型を流し、レーザー距離計で模型の高さ方向の寸法を計測。計測結果に基づいて良品と不良品を判定しており、その良否判定に学習済みニューラルネットを活用している。模擬生産ライン自体は1年以上前から披露しているものだが(関連記事)、e-AIソリューションのメリットを分かりやすく訴求するために、ベルトコンベヤーの予知保全に関する2つの機能を新たに追加した。

AIユニットの例
AIユニットの例。この内部にあるMCUに学習済みニューラルネットを実装している。上位のサーバーには計測結果などを送信しており、そのネットワークには「OPC UA」を採用している。
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 1つめの追加機能は、ベルトコンベヤーを動かすモーターの故障予測である。モーターに振動センサーを設置し、さらにその計測結果を分析する「AIユニット」を接続することで、故障の予兆を捉えられるようにした。具体的には、振動の周波数スペクトルを分析しているという。AIユニットには、ルネサス エレクトロニクスのMCU「RZ/T1」を使っており、このMCUに学習済みニューラルネットを実装している。ニューラルネットは、オープンソースのディープラーニングのフレームワークである「caffe」で設計し、学習させたものだ。学習済みニューラルネットのMCUへの実装では、ルネサス エレクトロニクスがe-AIソリューション向けに開発したツールを活用している。