倒産は68件
倒産は68件
(出所:東京商工リサーチ)
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負債額別
負債額別
(出所:東京商工リサーチ)
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 調査会社の東京商工リサーチ(東京都千代田区)は4月6日、2016年度の「太陽光関連事業者」の倒産状況の調査結果を発表した。

 太陽光発電システム装置の製造・卸売・小売・設置工事やコンサルティング、太陽光発電による売電などを手掛ける企業を対象とする。

 2016年度(2016年4月~2017年3月)の「太陽光関連事業者」の倒産は68件となり、過去最多を更新した。2015年度の61件から、7件増えた(2015年度比11.5%増)。

 上半期(2016年4月~9月)の20件から、下半期(2016年10月~2017年3月)は48件となり、2.4倍に増えた。2017年2月は、単月として最多の11件となるなど、関連事業者の倒産が相次いだ。

 件数では過去最多を更新した一方、負債総額は2015年度に比べて半減(57.0%減)し、146億4100万円となった。

 2015年度は、新電力の日本ロジテック協同組合(東京都中央区)が、約120億円の負債を抱えて銀行取引停止処分を受け、倒産した影響が大きかった。

 2016年度の負債額のトップは、太陽電池セル製造のPVG Solutions(横浜市港北区)の約22億円だった。

 負債額別では、「1000万円以上5000万円未満」が28件で、全体の41.1%を占め、2015年度の13件から大幅に増えた。一方で、「10億円以上」は、2015年度に比べて60.0%減と大幅に減少した

 これに対して、2015年度の負債額では、「1億円以上5億円未満」がトップだった。こうした状況から、小規模な関連企業の経営悪化が浮き彫りになったと分析している。

 原因別でみると、「販売不振」が36件で、全体の半数を超えた(構成比52.9%)。次いで、「事業上の失敗」と「運転資金の欠乏」がそれぞれ11件(同16.1%)となった。

 2015年度と比べると、「運転資金の欠乏」が4件から11件に増えた(2015年度比175.0%増)ことが目立つ。売上高の急拡大から、一気に受注減に陥ったことで、資金繰りに窮した企業や、業容拡大を見越した過剰在庫が原因で収支のバランスが崩れ、資金繰りが破綻した例が多いとしている。

 固定価格買取制度(FIT)の開始当初、住宅や低圧連系太陽光発電の建設が一時的に急増し、この分野でのブームに乗った企業のなかには、財務基盤の脆弱さを克服できないケースもあるようだ。東京商工リサーチでは、今後も倒産が続く可能性があると見ている。FITによる買取価格の低下や、相次ぐ新規参入などで事業環境が変わり、関連事業者の淘汰が本格化していると分析している。

 東京商工リサーチは、具体的な倒産事例を取り上げ、個別にその経緯などを解説している。以下にその抜粋を紹介する。