警察庁は2016年4月7日、公道で自動運転に向けた実証実験の指針案を発表した(ニュースリリース)。運転者の役割や車両の備える装備、事故を想定した対策などについてまとめている。法律上の拘束力はないが、これまで不明確だった公道実験のルールを明確にすることで、自動運転開発の促進が期待できる。しかし、実験車両に運転者が乗らない「完全自動運転」の実証は認めなかった。

 自動運転の実現にはさまざまな条件の実証実験が必要になり、公道での実験が欠かせない。日本では保安基準に適合した車両であれば、特別な手続きを踏まずに公道実験できることになっている(関連記事)。しかし、自動運転の実証実験に関して明確な決まりがなく、実験者には処罰を受ける恐れがあるといった懸念があった。

 指針案では、「道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)への適合」「運転席への運転者搭乗」「道路交通法を始めとする関係法令の遵守」を前提にしている。そのため、車両に運転者が乗らず、遠隔から監視するといった完全自動運転は認めなかった。

 運転者は運転席に乗車し、緊急時に車両を制御することが求められる。さらに運転者以外にも、自動運転システムを監視するオペレーターの同乗が望ましいという。実施者は実験車両と併走できる車両を用意して、安全確保に配慮すべきとしている。