ルネサス エレクトロニクスは、電力線通信(PLC:Power Line Comuunication)技術を拡張して音声通信を可能にした(ニュースリリース)。同社は音声を扱えるPLC通信のデモンストレーションを、2017年4月11日に都内で開催したプライベート展「Renesas DevCon Japan 2017」で行った。

今回のソリューションを紹介するコーナー。日経テクノロジーオンラインが撮影。
今回のソリューションを紹介するコーナー。日経テクノロジーオンラインが撮影。
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 同社の既存の2つのICや新規開発したソフトウエアを組み合わせて実現した。同社は「PLC(Power Line Communication)音声通信ソリューション」と呼ぶ。既存の2つのICはどちらも量産中で、1つはPLCの送受信を処理するIC「R9A06G037」(関連記事:世界の電力線通信に対応するPLC用IC、ルネサスが発売)。もう1つは、音声コーデックを処理するマイクロコントローラ「RX651」(関連記事:ルネサス、産業機器の通信・制御に向けた32ビットマイコン)である。

 ブースの説明員によれば、既存のPLC技術では制御用データと音声の同時通信は難しかったという。例えば、音声通信の遅延の揺らぎにより、音声品質が劣化するという課題があった。そこで今回、ルネサスは、新規に開発したソフトウエアなどを使って、音声送信時の優先制御等を行うことで、機器制御通信と音声通信が混在する状況でも、音声通信の遅延の揺らぎをほぼゼロに抑制し、安定した音声品質を提供できるようにした。

 また、既存製品よりも性能が向上しているPLC通信用ICのR9A06G037を利用したことで、中継(ホッピング)なしでも1km以上、128ノード以上の電力線網で制御用データと音声の同時通信ができるようになったという。ルネサスは、今回の「PLC音声通信ソリューション」の製品化を行う計画。具体的には、2017年9月より順次提供していく予定だとした。

PLC通信用IC「R9A06G037」の性能をアピール。日経テクノロジーオンラインが撮影。説明板はルネサス。
PLC通信用IC「R9A06G037」の性能をアピール。日経テクノロジーオンラインが撮影。説明板はルネサス。
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