発表会に臨む瀧口氏
発表会に臨む瀧口氏
[画像のクリックで拡大表示]

 東芝メディカルシステムズ 代表取締役社長の瀧口登志夫氏は、2016年4月7日に同社が開催したX線CT装置の新製品発表会に登壇。同年3月17日に発表した、キヤノンによる同社買収に関してコメントした(関連記事)。

 買収発表以来、初めての発表会の場となった。瀧口氏は冒頭、東芝が東芝メディカル売却の意向を表明した2015年12月以降、「関係各位にはたいへんご心配をお掛けした。いろいろな場で東芝メディカルの価値について語っていただき、勇気付けられることもあった」と話した。その上で、各国競争法のクリアランスを得て買収が完了した暁には「両社の強みを生かしたシナジーを創出し、世界の医療に貢献したい」とした。

 競争法のクリアランスが得られる時期については「これまでの経験からして、数カ月のうちにはなんとかなると考えている」(瀧口氏)とコメント。東芝メディカルのブランドが残るどうかは、現時点では未知数という。キヤノンによる買収が発表されるまでの3カ月間、「従業員に動揺はあったと思うが、我々の使命はこれからも変わらないという中で、徐々に前向きな姿勢が出てきた」(同氏)。

 キヤノンの事業や技術とのシナジーについては、同社の医療分野の取り組みを「よく知る機会がまだなく、表面的な情報から“妄想”している段階だ。ただし、(キヤノンが乳がん診断を視野に開発中の)光超音波技術は我々のSMI(Superb Micro-vascular Imaging:超音波による血流イメージング技術)と似ている部分があり、マーケティングにもつながっていくだろう。こうした協働の可能性はあると思う」(瀧口氏)と話した。