• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

HOMEエレクトロニクス電子デバイス > 有機TFTをメモリー、生体センサー、RFID用タグへ応用

ニュース

有機TFTをメモリー、生体センサー、RFID用タグへ応用

鵜飼育弘の応用物理学会レポート(5)

  • 鵜飼 育弘=Ukai Display Device Institute 代表
  • 2016/04/08 12:39
  • 1/4ページ

 「第63回応用物理学会春季学術講演会」(2016年3月19~22日、東京工業大学)で筆者が興味を持った講演を中心に、5回にわたってレポートする連載。最終回の今回は、有機半導体TFT回路による応用に関する講演を紹介する。

 筆者が注目したのは、(1)山形大学の菅野亮氏らによる「有機トランジスタを用いた印刷1T1C型有機強誘電体メモリ」と題した発表(講演番号:22p-W521-2)、(2)東京大学の都竹康太郎氏らによる「全塗布プロセスと有機半導体単結晶による5V駆動強誘電メモリトランジスタ」と題した発表(講演番号:22p-W521-3)、(3)大阪大学の植村隆文氏らによる「有機トランジスタを用いた生体信号増幅回路の開発」と題した発表(講演番号:22p-w521-4)、(4)東京大学の田中秀幸氏らによる「有機単結晶CMOSによる高速Dフリップフロップ回路」と題した発表(講演番号:22p-W521-6)である。

ウエアラブル応用に期待、有機強誘電体メモリー

 まず、山形大学の菅野氏らによる講演「有機トランジスタを用いた印刷1T1C型有機強誘電体メモリ」について解説する。

 有機薄膜トランジスタ(OTFT)と強誘電性高分子を組み合わせた有機強誘電体メモリーは軽量・柔軟・印刷法で作製可能なウエアラブルデバイスへの応用が期待されている。代表的な強誘電体メモリーとして1-トランジスタ型(1T型)と、1-トランジスタ 1-キャパシタ型(1T1C型)がある。一般に、1T1C型メモリーは1T型に比べて保持データの信頼性の点で優れるものの、OTFTを用いた1T1C型メモリーの報告例はない。

 デバイスの構成材料は、すべての電極、強誘電体層、絶縁膜、バンク層、電荷注入層、有機半導体層として、銀(Ag)ナノ粒子インク(NPS-JL)、P(VDF-TrFE)、パリレン(diX-SR)、テフロン、Pentafluorobenzenethiol(PFBT)、DTBDT-C6を用いた。強誘電体キャパシタを“0”および“1”方向に分極処理した後、OTFTに20Vのパルス電圧を印加することで強誘電体キャパシタの分極反転(メモリー書き込み動作)を行った。その後、強誘電体キャパシタのI-V特性からメモリー書き込み動作が正常に行われたかどうかを評価した。

 強誘電体キャパシタのI-V特性を図1に示す。“1”書き込みを行った素子では強誘電体層の分極反転に由来する明確な変位電流が観察されたのに対して、“0”書き込みを行った素子では観察されなかった。以上により、OTFTを用いた印刷1T1C型有機メモリーにおいて、正常なメモリー書き込み動作が初めて確認された。その結果、OTFTと有機強誘電体キャパシタを組み合わせた高信頼性の有機メモリーを印刷プロセスで作製可能であることが実証された。

図1 強誘電体キャパシタのI-V特性
2016年のnano tech展の山形大ブースで筆者が撮影。

おすすめ