米国の環境系非営利団体(NPO)であるシエラクラブ(Sierra Club)は3月28日、トランプ大統領が「クリーンパワー計画(CPP)」の撤廃に向けた大統領令に署名した同日、西部の州や都市が再生可能エネルギーの導入を今後も継続するとの見通しを発表した。

 シエラクラブは、米西部の13州では石炭・ガスの両産業を合わせたより多い82万人以上が再エネ関連の雇用に就いていると指摘(表)、エネルギーのコストを抑制しつつ大気汚染などの公害防止にも再エネが貢献していると主張している。

 米エネルギー省(DOE)傘下のローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)が発表した調査報告書を引用し、米国では西部が再エネの成長をけん引しており、エネルギー需要の100%を再エネで賄うと公約した市や町も、他の地域より西部の方に多いと述べている。

 一方、クリーンパワー計画なしの場合、州によっては再エネに関する目標を設定しなくなる可能性もあり、その結果、雇用創出や大気汚染の防止が損なわれ、事業機会の逸失や経済的損失に繋がるとの懸念を示した。

 同クラブは、「西部の多くの州や都市は、経済的に合理性があるため今後も引き続き再エネを導入するだろう。クリーンエネルギー導入を遅らせ否定するというプルイット氏の戦略に従う州は、リスクの高い未来に直面する」と主張している。

 太陽光発電に関しては、「住宅の所有者は、屋根上に太陽光発電システムを設置することで、エネルギー選択の自由度を高められる。蓄電池システムが技術革新をけん引し、より信頼性の高い電力網を支えつつある」とその意義を指摘している。

 同クラブで「Beyond Coal」キャンペーンのディレクターを務めるBill Corcoran氏は、「トランプ政権は米国の労働者を支援すると約束したが、それでもトランプ大統領と環境保護庁(EPA)のスコット・プルイット長官は、既に何十万人も雇用している再エネ産業を成長させるであろう(クリーンパワー)計画を撤廃する道筋を定めた」とトランプ政権を強く批判している。