東京大学大学院新領域創成科学研究科准教授の藤本博志氏らの研究グループは、東洋電機製造や日本精工と共同で、走行中の電気自動車(EV)に無線で電力を伝送する(走行中給電)システムを開発した。道路から前輪に配置するインホイールモーター(IWM)にワイヤレス給電するのが特徴だ。

 開発したIWMを三菱自動車のEV「i-MiEV」をベースとした実験車両に搭載し、屋外での走行実験の様子を報道陣に公開した(図1〜3)。道路には寸法が1.0×0.5mの送電コイルを3個配置し、15km/hほどのスピードで走行する様子を見せた。

図1 東京大学らが開発した走行中給電システムを搭載する電気自動車(EV)
図1 東京大学らが開発した走行中給電システムを搭載する電気自動車(EV)
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図2 道路側のコイルからインホイールモーターに電力を伝送する
図2 道路側のコイルからインホイールモーターに電力を伝送する
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図3 車体の電池とインホイールモーターの間もワイヤレス給電に
図3 車体の電池とインホイールモーターの間もワイヤレス給電に
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 藤本氏らの研究グループは、2015年5月にワイヤレス給電で駆動するIWMを開発したことを発表している。この時は、車両に搭載したリチウムイオン電池の電力を無線でIWMに送っていた(関連記事:配線なくし耐久性と信頼性向上)。

 目的は、配線の信頼性の課題を解決するためだった。モーターに駆動電力を供給するための配線や、モーターの回転数を検出するセンサーなどの信号線が繰り返し屈曲を受けるため、耐久性・信頼性の面で不安があった(関連記事:期待先行、普及はこれから)。