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HOMEエレクトロニクス電子デバイス > 低電圧動作の有機半導体TFTとCuインク電極材料が進化

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低電圧動作の有機半導体TFTとCuインク電極材料が進化

鵜飼育弘の応用物理学会レポート(2)

  • 鵜飼 育弘=Ukai Display Device Institute 代表
  • 2016/04/06 07:00
  • 1/5ページ

 「第63回応用物理学会春季学術講演会」(2016年3月19~22日、東京工業大学)で筆者が興味を持った講演を中心に、5回にわたってレポートする連載。第2回の今回は、有機半導体TFT(OTFT)の低電圧動作に関連する講演と、電極材料として銅(Cu)インクを用いたOTFTの講演をそれぞれ紹介する。

有機薄膜トランジスタ(OTFT)の低電圧動作

 過去に報告された一般的な有機薄膜トランジスタ(OTFT)は、10V以上の動作電圧が必要である。これは、結果として大きな電力消費につながる。そこで、5V未満の電圧で動作可能なOTFTの開発が待たれている。

 OTFTの低電圧動作の一般的アプローチは、絶縁膜に新技術を導入し、高ゲート容量を実現することである。絶縁膜の新技術としては、「高誘電率無機ゲート絶縁膜」「高誘電率有機ゲート絶縁膜」「Al2O3のような高誘電率無機ゲート絶縁膜と薄い自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM)から成るハイブリッドゲート絶縁膜」などが提案されている。

 しかし、高ゲート容量のアプローチは、ゲートリークの増加および大面積デバイス製造時にデバイス間に大きなばらつきをもたらす欠点がある。しかも、高誘電体絶縁膜をデバイスに適用した場合、消費電力が増すとともに大きな寄生容量を誘発する。従って、低消費電力で高信頼性のデバイスを実現するには、簡単なデバイス構成で、低誘電率ゲート絶縁膜を用いた低電圧動作のOTFTが求められる。

 サブスレッショルド特性の良さを評価するパラメーターとして、サブスレッショルド係数(subthreshold voltage swing)がある。S値とも呼ばれる。S値は1桁のドレイン電流IDの変化に必要なゲート電圧VGと定義する。

 S=dVG/dlogID

 スイッチング素子としてOTFTを使用する場合は、サブスレッショルド領域においてドレイン電流の傾きを大きくすることが素子の性能を向上させることになる。これは言い換えるとSを小さくすることである。

 低電圧動作のOTFTについては、(1)東京工業大学の國井正文氏らによる「低誘電率ゲート絶縁膜を用いた多結晶Ph-BTBT-10電界効果トランジスタの低電圧駆動特性」と題した発表(講演番号:21p-W521-17)、(2)大阪大学の近藤雅哉氏らによる「18nm厚みのパリレン絶縁膜を用いた2V駆動有機トランジスタ」と題した発表(講演番号:21p-W521-10)、(3)山形大学の田代智也氏らによる「High-k高分子絶縁膜を用いた塗布型低電圧駆動有機トランジスタ」と題した発表(講演番号:22p-W521-1)の3件が目を引いた。以降では、これらの発表の内容を順に解説する。

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