インテルは、個人宅の宅内向けIoTプラットフォームの標準化を狙って、関西電力ら3社と手を組んで2017年9月から実証実験を始める(ニュースリリース)。この件に関して、3社が登壇した報道機関向け発表会が2017年4月12日に都内で開催された。

登壇した江田麻季子氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。スクリーンはインテルのスライド。
登壇した江田麻季子氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。スクリーンはインテルのスライド。
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 最初に登壇したインテルの代表取締役社長である江田麻季子氏は、今回の実証実験の狙いと、インテルの期待を述べた。実証実験の狙いは、個人宅に向けたIoTサービスの共通基盤の確立である。同氏によれば、個人宅に向けたIoTサービスはすでに実施されているが、それぞれの事業者が独自のシステムを使っている。今後、こうしたサービスが増えるに従い、1軒の個人宅に多数のIoTシステムが設置される可能性がある。

 事業者が異なっていても、IoTシステムのかなりの部分は共通であり、これらを標準化する、すなわちプラットフォーム化することで、個人宅のスペースや消費電力が最適化できる。さらに、プラットフォームでデータを管理することで、セキュリティーやプライバシーの問題にも対応しやすくなるという。

個人宅向けのIoTプラットフォームについて語る張磊氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。スクリーンはインテルのスライド。
個人宅向けのIoTプラットフォームについて語る張磊氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。スクリーンはインテルのスライド。
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 「個人情報は基本的にゲートウエー(すなわち、個人宅内)にとどめ、クラウドに送り出されないようにする」(インテルの張磊氏、執行役員 インダストリー事業本部 アジアパシフィック・ジャパン事業統括)。個人情報が必要なサービス(例えば、血圧や体重などの情報を基にした健康管理サービス)に関しては、事業者と利用者の合意の下で、そのサービス事業者向けにセキュアーな形でクラウドへと送出されるという。

 なおインテルの期待は、IoTプラットフォームの提供という事業への進出ではない。「(今回のような個人宅向けも含めて)IoTを使ったサービスが盛んになることによって、クラウドやエッジ(ゲートウエーや機器)で使うIntel製品(主にプロセッサーIC)の需要が拡大することを期待している」(江田氏)。このような期待のコメントは、米Intel社がイスラエルMobileye社を153億米ドルで買収すると発表した際にも、Intelから発せられている(関連記事:IntelがMobileyeを1兆7560億円で買収へ)。