オリンパスの田口氏
オリンパスの田口氏
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 オリンパスは2016年3月30日、2016~2020年度の中期経営計画説明会を東京都内で開催した。医療事業の戦略については、同社 取締役 専務執行役員(医療事業統括役員)の田口晶弘氏が説明した。

 2012~2015年度の中期ビジョンでは、医療事業は売上高・営業利益ともに計画を1年前倒しで達成した。売上高は過去3年間で1.6倍(2015年度見込みは6150億円)、営業利益も1.6倍(同1370億円)に伸長。「為替の好影響もあったが、全体として順調に推移した」(田口氏)。主力の消化器内視鏡事業の成長率は、年平均15%と目標(同9%)を大きく上回った。

 次の5カ年の重点施策の1つに掲げたのが、従来の主力だった「インストールベース型医療ビジネス」から「症例数ベース型医療ビジネス」へのシフトだ。医療費抑制の圧力から「病院の数はさほど増えないが、高齢化などにより症例数は増える」(田口氏)ことを背景とする。

 症例数に比例して需要が増える「ディスポーザブル・デバイスビジネスを拡大する」(田口氏)のが同社の戦略。内視鏡とともに使う処置具など、使い捨てデバイスを強化する。血管封止や組織の切開・はく離に使うエネルギーデバイスなどだ。内視鏡のように「償却されないと更新されない製品とは異なり、ディスポーザブル・デバイスは大きな変化はなくても毎年、製品を出していく必要がある。このあたり(の事業ノウハウ)は他社に学ぶところがある」(田口氏)。

 この他、外科事業や新興国向け事業、GPO(Group Purchasing Organization)やIDN(Integrated Delivery Network)と呼ばれる医療機器の共同購買への対応などに力を入れるとした。

 今後、医療事業の売上高を年平均8%のペースで伸ばし、2020年度に9000億円とする計画。営業利益は年平均10%で成長させ、2020年度に営業利益率25%(2015年度見込みは22%)を目指す。