米国の再生可能エネルギー研究所(NREL)は24日、全米における建築物の屋根上設置型太陽光発電システムの利用可能量(導入ポテンシャル)の推計値を更新したと発表した。

 今回推計した利用可能量は1118GW、年間発電量は1432TWhとなり、米国における電力消費の約40%に相当するエネルギーとなることが分かった。

 以前の調査結果である664GW、800TWhに比べるとほぼ2倍に増えた。同研究所は今回の分析結果がほぼ倍増した要因として、太陽光パネルの出力密度の向上、建築物の持続可能性の改善、建築物の見積り数が増加したこと、太陽光の発電量をシミュレーションするソフトウェアの改良を挙げている。

 この導入ポテンシャル調査では、LIDAR(光検出と測距)システムによるデータ、地理情報システム(GIS)の手法、太陽光発電のモデリング技術を用いて、全米128都市の建築物の屋根上太陽光発電システムの利用可能量を計算したという。

 これは、全米の建築物の約23%に相当する。この計算結果を外挿することによって米国全土の建築物の屋根上太陽光による発電量を推計した。

 調査対象の128都市のうち、小規模な建築物の83%が太陽光パネルを屋根上に設置するために適した場所であったが、実際にパネルを据え付けて受光できる面積はそのうちの26%に留まるという。

 それでも、小規模な建築物の数が非常に多いため、利用可能量としては最大になったとする。その導入ポテンシャルは、設備容量で731GW、年間発電量で926TWhとなり、全米の屋根上太陽光発電による利用可能量の約65%を占める。

 中規模から大規模な建築物では、設備容量で386GW、年間発電量で506TWhとなり、全米の屋根上太陽光発電による利用可能量の約35%となる。

 同研究所は、この分析結果では屋根上設置の導入ポテンシャルだけを評価しているため、太陽光発電全体の利用可能量を検討する場合、地上設置型やそれ以外の設置場所も考慮すべきだとしている。具体的には、駐車場に設置する太陽光発電システムや、ビルの壁面に設置する太陽光パネルなどである。

 また、今回のような導入ポテンシャルの分析では、特定のリソースや技術的な性能などだけによってエネルギーを定量化したものであり、経済的な要因は考慮されていないことにも留意が必要だとしている。具体的には、投資収益率(ROI)、市場に影響を与えるエネルギー政策、競合する他の技術、技術の普及率や浸透度合いなどである。

 今回の調査は、同研究所の監督省庁である米エネルギー省(DOE)の省エネルギーおよび再生可能エネルギー(EERE)室の資金によって実施された。同省の「SunShot イニシアチブ」の一環である。

 SunShotイニシアチブは、2020年までに太陽エネルギーのコストを従来のエネルギー資源と比べても十分に競争力のあるレベルにする、という国家的な取り組み。その目標は、太陽光発電のコストを0.06ドル/kWh以下に低減するというものである。