東京慈恵会医科大学附属病院のハイブリッド手術室に導入されたARTIS pheno
東京慈恵会医科大学附属病院のハイブリッド手術室に導入されたARTIS pheno
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シーメンスヘルスケアの森秀顕氏
シーメンスヘルスケアの森秀顕氏
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Siemens Healthcare社のPeter Seitz氏
Siemens Healthcare社のPeter Seitz氏
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東京慈恵会医科大学附属病院の村山雄一氏
東京慈恵会医科大学附属病院の村山雄一氏
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 シーメンスヘルスケアは2017年3月28日、ハイブリッド手術室対応のX線血管撮影(アンギオ)装置の新製品「ARTIS pheno(アーティス・フィノ)」を日本国内で発売した。国内1号機を、東京慈恵会医科大学附属病院が同年2月に導入。共同での記者説明会を同日、東京都内で開催した。

 脳神経外科や心臓外科、血管外科などのハイブリッド手術に向ける装置で「低侵襲で正確、かつ短時間で治療することに貢献する」(シーメンスヘルスケア 代表取締役社長兼CEOの森秀顕氏)。Cアームの内径を同社従来品よりも13cm広げ、アーム内のフリースペースを95.5cmに拡大。術者の広い作業スペースを確保した。

 ケーブルを装置内にまとめることで術者と触れないようにしたり、装置表面を抗菌加工したりするなど、手術室内の衛生管理にも配慮した。このほか「主要なコンポーネントはすべて刷新した」(ドイツSiemens Healthcare社 アドバンストセラピービジネスエリア シニアバイスプレジデントのPeter Seitz氏)という。

 ドイツの2施設に導入済みで、東京慈恵会医科大学附属病院は世界で3施設目。ドイツではIVR(interventional radiology)用の血管撮影装置として主に放射線科で利用されており、「ハイブリッド手術室に導入するのは、我々が初めて」(東京慈恵会医科大学附属病院 脳神経外科教授の村山雄一氏)。同病院では脳神経外科や心臓外科、血管外科で利用を開始した。同病院はシーメンスヘルスケアが血管撮影装置を初めて手術室に納入した施設で、ARTIS phenoは3世代目に当たる。

 説明会では、脳神経外科の村山氏が脊髄や胸椎、頭頸部腫瘍などの治療における有用性を説明。「従来はCアームと患者の間に十分なスペースを確保しづらく、“車庫入れ”のような難しさがあったが、今回の装置ではCアームを楽に回せる。術者がケーブルに触れてほこりが出るような懸念もないので、衛生面のストレスも減った」と話した。Cアームを6秒で1回転と高速に回転させて「X線CTに似た画像を撮ることができ、画質も高い」(同氏)。

 心臓外科では、大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)などに利用。血管外科では「手術できないと診断され全国から我々の施設に集まってくるような患者に対しても、安全な手術を提供することを支援してくれる」(同科教授の大木隆生氏)。

 2017年5月からは世界で発売する。価格は未公表。シーメンスヘルスケアは今回の製品を「2017国際医用画像総合展(ITEM 2017)」(2017年4月14~16日、パシフィコ横浜)に出展する。