日本自動車研究所(JARI)は、自動運転技術を評価するための施設「Jtown」を報道陣に公開した。経済産業省の「自動走行システム評価拠点整備事業」の補助金を基に建設した施設で、2017年4月1日に運用を開始する。自動運転技術の協調領域におけるJARIの所内研究や受託事業に加え、同領域における大学・研究機関の個別・共同研究や個別企業の共同研究で利用できる。自動運転技術の競争領域においても研究・試験のJARIへの委託という形態や、個別企業への貸し出しという形態で利用できるという。

 Jtownは「特異環境試験場」「V2X市街地」「多目的市街地」という三つの試験エリアから成る。特異環境試験場は雨や霧、逆光などの環境条件を再現できるようにした屋内施設である。全長200m×幅16.5mの建屋内に、雨や霧の発生設備、日光を模擬する日照設備などを備える。雨では強い雨(降雨量30mm/h)、激しい雨(同50mm/h)、非常に激しい雨(同80mm/h)を再現できる。建屋を長さ方向に2分割して雨量を調整できる。霧では視程15~80mの薄い霧から濃霧までを再現でき、霧の粒径は7.5μmという細かさだ。

 日照設備は、日本の春秋の晴天時(15~17時)の日光に相当する光を再現可能。その照度は2万~3万5000lx、色温度は2300~5000Kという。クルマに対する逆光としての利用の他、標識や信号機、先行車両などに強い光を当てた場合の認識性能の確認にも使える。

特異環境試験場での霧の再現
特異環境試験場での霧の再現
天井に設置した霧を発生させる装置を使う。霧が濃くなると信号機や対向車、道路標識、歩行者(ダミー)を認識しにくくなる。
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特異環境試験場での雨の再現
特異環境試験場での雨の再現
天井から水滴を噴射させて雨を再現する。路面が濡れて光っている。
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